いま東芝は物言う株主の批判を受けて、経営方針がなかなか定まらない状況だ。しかし、子会社の東芝エネルギーシステムズは4日、福島県東部に新設される陸上風力発電所向け風車の全46基を受注したと発表した。東芝にとっては干天の慈雨になるのかもしれない。
総発電容量は計約14万7000キロワットに上る見込みで、国内最大規模の陸上風力発電所となる見通しだという。温暖化ガス削減に向け、東芝は風力発電事業を強化するとしているが、順調な建設推進であってほしいものだ。発電所は福島県の阿武隈地域に新設される。住友商事など9つの企業や団体が共同出資する合同会社が1日に着工し、2025年春の完成を目指している。
報道記事を読んだときに、これは洋上風力発電だと思った。日本に46基もの風力発電タワーを設置できる広さの陸地があるとは思えなかったからだ。平野ではなく山地だろうが、太陽光発電のように地表面を荒廃させることはないだろう。東芝は風車全46基の供給と20年間の運用と保守を受注した。受注額は非公表。風車は米ゼネラル・エレクトリック（GE）製を納入し、設置などを担うと報じられている。納入開始は23年11月以降となる見込み。東芝とGEは21年5月に洋上風力分野での提携を発表している。
風力発電は風さえあれば夜昼を問わず発電することから、太陽光発電よりも出力変動への対応が24時間体制になる。今回のプロジェクトは東北電力管内だから、同電力は東芝ともども風の予測精度を上げる技術開発を進めるだろう。また、この新風力発電設置に向けた系統強化もしなくてはならないだろうし、深夜に強風が吹く時には、管内で消費しきれず東京電力に送ることも考えられる。
これだけの規模の陸上風力発電は、これが最後のプロジェクトになるかもしれない。
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