効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■プラスチック使用からの脱皮

当初、プラスチックによる海洋汚染が報じられてから、当初、プラスチック製のストローを使用するのを回避する飲食産業が拡大した。だが、ストローはいわばシンボルのようなもので、続いて、プラスチック自体の再利用や、他の環境汚染を増やさない素材へ転換する企業の動きが最近報じられるの多く見るようになった。

その一つは、製紙各社はストローやプラスチックフィルムに匹敵する性能の包装紙などを開発中だというもの。出版物や印刷物の減少で紙の需要は右肩下がりだったが、環境負荷が高いプラスチックの代替素材として注目を集めるようになり、世界的な「脱プラスチック」の流れの中で、包装材や容器の市場が激変する可能性も出てきたと報じられている。2018年7月、米スターバックスがプラスチック製の使い捨てストローを20年までに世界の全店舗で廃止すると宣言した。スターバックスの発表後、米マクドナルドやレゴランドを運営する英テーマパーク大手マーリン・エンターテイメンツなどもストローを紙に切り替えた。日本でも同様の動きが顕著になっている。こうしたなか、プラスチックに代わる素材として期待を集めているのが紙。素材業界が商用化に向けた開発を進める中で、日本製紙は紙容器などの製品を相次いで打ち出している。ストローについても、現在はプラスチック製に比べて割高になる製造コストの削減に取り組んでいるという。今後は水まわりでも使える紙製品の商用化も目指している。ただ、全てを紙に置き換えることはかなりハードルが高いに違いない。

次の具体例は、サントリー・ホールディングが、すべてのペットボトルを再生するシステムを確立しようとしているというものだ。2030年までに新たな化石燃料を投入せず、再生PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂と植物由来の素材を組み合わせて代替、循環させるようにする。同社は現在販売している飲料ボトルに使用済みペットボトル由来の再生PET樹脂を1割ほど使っているが、この割合を30年までに6~7割に高め、不足分を植物由来の樹脂で補うとのこと。再生PET樹脂については、使用済みのボトルを粉砕し、異物を除いて容器を効率よく作るシステムを協栄産業(栃木県小山市)と共同開発しており、25年までに再生設備を全国数カ所に増やす。ただ、このように使用済みボトルを確実に回収できるような流通システムが定着しなければなるまい。ビールの空瓶を業界として回収するモデルを作っていたが、ガラス瓶がスチールやアルミ缶に移行したために、ゴミとして捨てられたのを回収する方向に向かい、缶の回収効率は大きく下がっているはずだ。原料として再利用する技術は確立出来るだろうが、確実な回収をどのように定着させるかが課題となる。

資源の再利用には、必ずこの回収システムの確立が必要だが、それには消費者の意識付けと行動への移行が社会システムの中に組み込まれるようにならなければ効果を生むことは難しいし、時間がかかるだろう。業界全体として消費者も取り込んだ社会システムを具体化することが鍵となると思っている。