効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大規模バイオマス発電が増え始めた

大規模なバイオマス発電の計画が最近幾つも発表されている。その一つがイーレックスによるもの。新電力のイーレックスは世界最大級のバイオマス発電所の事業化に取り組むという計画を発表したが、大規模化で発電コストを引き下げ、政府の支援策である再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を使わずに採算を確保する計画だという。発電コストを石炭火力発電(1キロワット時あたり12円前後)並みに抑えることができるとのこと。17年度の大型の一般木質バイオマス発電のFITの買い取り価格は21円/kWhで、現状ではFITを使う施設がほとんどだ。同社は大手電力系などと協力して6カ所でバイオマス発電所を運営・計画している。新たに約70万世帯分の電力に相当する出力約30万キロワットのバイオマス発電施設の建設を、東日本を中心に立地を選んで検討するということだ。これまで国内最大の新設バイオマス発電所は出力10万キロワット程度で、新設バイオマス発電所としては世界最大級となる。木質チップやヤシ殻を燃料とするバイオマス発電は太陽光などより安定した発電量を得やすいことが評価されているが、問題は前にも書いたことがあるように、国内産の原料では賄えないことから、エネルギー自給率の向上には貢献しないし、原産地で原始林を破壊したりする可能性もあるし、船によるバイオマスの輸送による船舶からのCO2排出量も無視できない。何らかの規制が必要かも知れない。イーレックスの株価がこの計画発表で大きく値上がりしているようだが。
千代田化工建設も、関東に発電設備を増強したい大阪ガスが千葉県袖ケ浦市で計画するバイオマス発電所の建設などを受注したと発表している。発電所袖ケ浦市旭化成千葉工場内に、燃料貯蔵設備は同市内にある日本燐酸の事業所内に建設する。出力は7万5千キロワットで、木材製品の製造過程で発生するくずが原料の木質ペレットを燃料として使う。大ガスは木質ペレットを北米から輸入する計画だというが、これもイーレックスの計画と同じ問題を持っている。バイオマスの利用にはEUで、本当に地球温暖化に対してニュートラルであるかが問題視されるようになっているのだから、大規模発電設備の建設には慎重であって欲しい。