*パリ協定2020年適用開始 COP24、実施指針を採択
ポーランドのカトヴィツェで今週開かれてきた第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)は15日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を運用する実施指針について合意し、採択した。合意が出来ないのではないかという心配もされたのだが、何とか合意に至ったということだが、先進国と途上国との間の考え方の相違が埋められたとは言いにくいようだ。しかし、焦点だった資金支援や削減目標を巡って先進国と途上国が折り合い、パリ協定が2020年から適用される。
パリ協定は、産業革命以前より気温上昇を2度未満に抑える目標を掲げて約180カ国が批准したのが、2015年に開催されたCOP21の時で、16年11月に発効した。ただ削減に向けた詳細なルールが決まっておらず、20年からの適用に向けてCOP24で交渉していた。1日開催期間を延長して何とか合意に達したとは言え、今後各国がどのように動くかは必ずしも明確ではないだろう。資金支援については先進国が歩み寄り、フランスやドイツなどが途上国向けの基金を一定額増やすと表明し、また先進国が2年ごとに将来の支援額を新たに示すことにした。
米国のトランプ政権が2017年に協定から離脱したために、先進国が20年までに年間1千億ドルを途上国へ拠出するとした時の米国分を、先進国がどれだけ穴埋めできるか課題となる。焦点の一つだった削減目標や削減した総量の検証を巡っては、先進国と途上国で差をつけず客観的なデータの提出など共通のルールを導入することでも合意したとはいえ、実効ある成果が出るかも不確実。一方、海外での削減分を目標達成に利用する「市場メカニズム」と、温暖化ガスを削減する目標期間を5年か10年のどちらにするかは結論を19年以降に先送りしたが、これは海外プロジェクトを削減分にしようとする日本にとって厳しい環境が続くと言うことだ。
COP24の合意で参加国は20年までに削減目標を現行より増やせるか検証したうえで再提出しなければならない。日本もこれまで30年度に13年度比で26%削減する目標を公表しているが、さらなる上積みを求められるだろう。