効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

新しい低温熱利用

東京ガス株式会社、株式会社荏原製作所三浦工業株式会社の三社は、工場内で発生する90℃程度の温水を、加熱や殺菌などの生産工程に利用できる160℃程度のプロセス蒸気に変換する「未利用温水のプロセス蒸気化システム(以下、「本システム」)」の要素技術を確立したと発表された。三社は、本システムの実証導入を経て、平成22年度の商品化を目指している。90℃の温水は、冷却工程や燃焼排ガスとの熱交換あるいは蒸気の凝縮など工場内の様々な生産工程から多く発生する。このような低温の温水は、工場内の生産工程に利用する熱としては温度が低いため利用用途が限られており、未利用のまま廃棄・放熱されている温水は全国で年間33,000TJにも及ぶとされている。
このシステムのフローを眺めてみたが、ぱっと一発で理解できなかった。吸収式空調機に使われている臭化リチウム水溶液をうまく利用して、低温で蒸発された水蒸気を、別に準備した高温高圧ボイラーを組み合わせて、生産工程で利用しやすいプロセス蒸気に変換させるもので、蒸気量を大きく増やすことができる。それだけ蒸気の利用効率が上がって、CO2排出量の削減に結びつくということになる。また、ガスエンジンコージェネレーションシステム(CGS)のエンジン冷却用温水も蒸気に変換することができ、CGSの排ガスボイラから得られる蒸気とあわせることで、排熱から得られる蒸気量を増大させることが可能となる。これにより、ガスエンジンCGSの排熱の利用用途を拡大させることができる。
プレス発表の文章をほとんどそのまま引用しているのだが、低温で蒸発させた水蒸気に、高圧の蒸気を減圧して吹き込んで、元の高圧蒸気からは若干圧力が低いが、プロセス蒸気として十分利用できるだけのものを作りだしているようだ。面白い発想だと思う。低温の熱の回収によって利用メリットの大きい発電やプロセス蒸気発生ができる範囲が広がれば、多少のコスト増も環境価値を織り込んでいけば普及させることができるだろう。