効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ガス市場の全面自由化

都市ガス市場の全面自由化が来年の4月から予定されているが、地方の小規模都市ガス事業は対象にはならないから、実現に向けたステップは電力市場の全面自由化とはかなり異なる。総合資源エネルギー調査会が行程を審議しているが、三大都市圏のガス導管をつなぐ広域導管は、供給安定性を高める点からは必要性が高くないとし、整備を見送る方向で検討しているらしい。今後は地下貯蔵施設を有効活用するため、地下貯蔵施設と大規模都市圏を結ぶ複数のガス導管について、費用便益分析を行うことでおおむね一致したということだ。電気と違って都市ガスは、高圧導管自体が一種の貯蔵設備になるし、都市ガス原料であるLNG液化天然ガス)も液体のまま大量に貯蔵ができている。三大都市圏にはそれぞれ大規模なLNG基地があるが、そのかなりの部分が電力会社のものだから、自由化は電力会社の都市ガス事業への参入という形をとるだろう。大規模ユーザー対象の自由化は既に行われ、電力会社がガス会社の導管を使って託送で供給したり、専用のガス導管を敷設したりしている。地域を越えた自由化市場を作れるか、あるいは、作る必然性があるかは疑問が残るだろう。また、ガスの地下貯蔵施設は現在、国内では3社が5サイトを持っているが、法律上、国産ガスに用途が限られている。新たな地下貯蔵設備を作るのは、日本の地殻構造から見てコストに合わないだろう。大都市のガス事業者が他の供給区域に進出するかは興味の対象ではあるが、事業性が出るのかについては疑問も多い。