奈良先端科学技術大学院大学の河合壮教授らが、人の身体やパソコンなどに貼り付けると、外気との温度差を利用して発電するシートを開発した。これまでもこのような発電素子がなかったわけではないが,今回のものの発電効率は従来のシートの10〜1000倍。柔らかく折り曲げられて曲面にも装着できるために、応用範囲は広い。5年後を目途に、腕時計や情報端末の電池の代わりになるよう実用化するということだ。ナノテクノロジー素材のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)と有機化合物で素子をつくり、約4センチ角、厚さ約1ミリの樹脂製シートに組み込んでいる。今後改良を加えたうえで、数枚を組み合わせて肌に貼れば、最大で約100ミリワットの電力が得られる見通しだそうだ。
大気との温度差は大きくないだけに出力は小さいが、一種の半導体だから安定した利用ができるだろうし、安全だ。これが多く利用されるようになると、その集積された発電電力量は無視できないほどのものとなる可能性はある。温度差発電の大きなものは、地熱発電があるが、炉壁からの廃熱を利用することもこのような半導体や地熱発電に使うバイナリー発電が今後普及するのではないか。