水素は気体だが、大気中にはない。だが有機物の基本原子であり、また水の一部だ。政府はこの水素を液体にして輸送貯蔵する技術を開発する方向だと報じられた。水素は水を電気分解すれば得られる。この時には酸素も同時に作られる。風力発電など変動の大きい出力を使って水を電気分解して水素にして貯めておき、風力の出力が落ちたときに貯めてあった水素で発電して補うということも試みられている。しかし、気体のままでは移動させるのには適していない。そこで簡単に大量の水素を液化して輸送・貯蔵できる技術を確立しようということで、2020年代に実用化するということだ。
気体の水素を水素のまま液体に変えるには、セ氏マイナス約253度まで冷却する必要がある。絶対温度で0度に近いから、液化に大きなエネルギーが必要だし、液体水素を運搬するのも厄介。そこで水素の液化の他に、別の物質と反応させて常温で液体の燃料物質に変える技術も開発するとしている。身近なものではエタノール、メタノールなどがあり、携帯型燃料電池を駆動する物体として商品化されているが、大量に使うようにはなっていない。これ以外の化合物は他にもいろいろあるようだ。安全性が高く、有毒性のないものが安価に作れるという条件を揃える必要がある。それが可能だろうか。実験室レベルではこれまでにも試みられているが、課題は量産技術の開発だろう。