効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

送電網の強化

風力発電の導入を促進するために、風力発電所と需要地を結ぶ送電網を、電力会社、風力発電事業者と共同で拡充する方針が出された。官民で3000億円規模の基金を設立し、まず北海道や東北で重点的に建設するようだ。初期投資のかかる送電線を用意することで、新規事業者の参入を促す目的である。官民で特別目的会社(SPC)を設立し、送電線建設のための基金を運用する。基金への出資割合は国、電力、風力発電事業者が約3割ずつ。政府は5年かけて1000億円まで出資を拡大する方向で、来年度予算概算要求には約300億円を盛り込むことになっている。
重点整備する地区は北海道北部の稚内地区、南西部の苫東地区や青森県下北半島秋田県北西部にある合計約6カ所。経済産業省は整備費用を約3000億円と試算している。SPCは送電線を使う風力発電事業者から使用料を受け取り、投資を回収する。11年度末で風力発電設置規模は約250万キロワット。太陽光発電に比べて発電コストが一般に安いし、規模を大きくとれる風力発電は海外で大きく伸びているが、日本では電力会社が不安定な電源だとして受け入れに極めて消極的だったために、現在の発電量は全体の1%ほどに留まっている。経産省によると、地域独占の電力会社ができて以来、国が送電網の整備を支援するのは初めてだという。SPCは電力会社から独立した組織になるから、発送電分離への道筋がつけられたと言える。このプロジェクトの中には、北海道と本州を結ぶ直流連系線と、東京電力中部電力の間にある周波数変換装置の増強も含めるべきだろう。この方が優先度は高いかもしれない。この政府方針がでたことで、やっと再生可能エネルギー利用が本格的に促進されると期待したい。