効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

イカロスの妙技

太陽の光粒子のエネルギーを使って加速する宇宙飛行船イカロスのソーラーセイル(太陽帆)は、超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む宇宙船だ。その一部であるソーラー電力セイルは、帆の一部に薄膜の太陽電池を貼り付けて大電力発電を同時に行っている。この電力を用いて高性能イオンエンジンを駆動することで、ハイブリッド推進を実現し、効率的で柔軟なミッションが可能となる。小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」(IKAROS = Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun)では、帆だけで宇宙空間を航行できること及び薄膜太陽電池で発電できることの世界初の実証をめざしている。IKAROSは、5月21日6時58分22秒、 金星探査機「あかつき」を乗せたH-IIAロケット17号H-IIAロケットと相乗りで打ち上げられた。 ソーラーセイルは、太陽光を十分に受けることができれば、燃料を消費することなく、宇宙空間を進むことができる。このアイデアは100年程前からあったが、帆の素材や展開方式など非常に難しく、近年になりやっと実用化の見通しがついたもの。米国惑星協会が2001年と2005年に「コスモス1」というソーラーセイル試作機を打ち上げたが、ロケットのトラブルで失敗。米国惑星協会は新たに2010年末に「ライトセイル1号」を地球周回軌道に打ち上げて、ソーラーセイルの実証を行う予定。ここまではJAXAのホームページの伝える内容を写し取ったものだ。
そして、この小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」は、7月13日に姿勢制御デバイス(液晶デバイス)によるソーラーセイルの姿勢制御実験を行い、想定通りの姿勢制御性能を達成していることを確認したというから素晴らしい。ソーラーセイルに貼り付けられている姿勢制御デバイス(液晶デバイス)は、電源のON、OFFにより太陽光の反射特性を変えることのできる装置。これにより燃料を用いずに太陽光圧のみを利用してセイルを姿勢制御することができる。日本が世界で最初に実際の宇宙空間で実験に成功したのだ。軽量の50メートル角の樹脂膜を伸展させることでも実に難しいことだと思う。このような技術の先進性を何か新しい事業の核にできないだろうか。