効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

DLR

DLRとは何を意味するのですかと聞かれたが、知らなかった。こちらから、それは何の略ですかと聞いて、ダイナミック・ライン・レーティングだと分かったのだが、それでも見当がつかなかった。送電系統に関係し、風力発電の導入に伴って検討されているものらしい。ネットで調べてみた。
送電線には流せる電力に上限がある。それ以上に流すと電線がその抵抗で発熱し、ますます抵抗が増える方向に特性が変化し、悪循環になるからだ。この上限値はこれまでは設計値として一定の数字になっていて、系統管理者はこれを目安に全体の電気の流れを制御しているそうだ。ところが、風が吹くと電線の傍を通る風に熱が奪われるために電線の温度が下がり、予め設定されている量以上の電力を流すことができるようになる。ある地域に大規模な風力発電が導入されて風が吹くと、発電された電力を送電系統に流してやらなければならない。その時に、従来のような定格で判断すると、受け入れられる電力量の上限は決まってしまう。ところが風力発電が発電能力一杯に稼働しているときには、その地域の風はかなり強く吹いている。その風は風力発電からの電力を受け入れる送電線を冷やしてくれるから、受け入れることができる風力発電からの電力量の上限が上がることになる。これから風力発電の導入が増えるときに、この風による冷却効果を計算しておかないと、送電線に余裕を持たせすぎることになるということだ。
そこで、DLRが登場する。送電線の容量判断を設計数字で行うのではなく、実際の電線温度、風速、流れる電力量をリアルタイムで計測し、それによって上限値を判定する。これをダイナミック・ライン・レーティングと称しているのだ。系統の許容通過電力量が時間によって変化するという意味だろう。面白いことを勉強させて貰った。これからスマートグリッドが推進されるときに、系統投資に無駄ができないようにする意味で重要な考え方だろう。