効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

GEがベトナムに風力発電機工場

米国のGEがベトナム北部のハイフォンに風力発電機の製造工場を新設する。労務費が安いからここで製造した風力発電設備を世界に輸出すると報道にはあるが、単なるコストだけでここを選んだのではないように思う。すでに中国など5カ国に関連工場を持っていることから見ると、これからアジアで急速に広がる風力発電市場を睨んだものだろう。
いまGEは世界首位のヴェスタス(デンマーク)に次いで2位である。ヴェスタスは最近英国の工場を閉鎖して米国に工場を建てると発表している。米国では昨年風力発電の規模が50%も増大し、オバマ政権の政策もあいまってそのテンポがゆるむとは思えない。一方中国では昨年設備容量が100%増加した。ということは規模が2倍になったということだ。同じことが中国の周辺でも起きるだろう。電力消費の増大に対応するためにどうしても石炭火力などに依存しなければならないが、地球温暖化対応を考えると、石炭からのCO2排出をオフセットする風力発電を建設する方向に向かわざるを得ないからだ。GEはこの市場拡大に備えて拠点を拡げたに違いない。インドはすでに優れた風力発電メーカーが育っている。
中国、ベトナム、タイ、マレーシア、インドなどの諸国の送配電網は日本に比べると遙かに脆弱だから、国内に大規模な風力発電ができると国内の系統だけでは変動に対応できなくなるだろう。多分、欧州と同じように、国同士が大容量の系統で結ばれるようになり、電力の輸出入で自然エネルギーの変動に対応しようとするだろう。そうなると圧倒的な政治力を持つ中国が、この地域全体の系統運用を支配する可能性がある。その時にGEが持つスマートグリッドの開発力が大きな力を発揮するかもしれない。風力発電スマートグリッドの両方の技術を持つGEがアジアを抑えるかもしれない。日本はこの市場から取り残されるのではないか。報道によると、風力発電の世界市場規模は08年には約4兆円と見られ、太陽光発電の2倍強となっている。