効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高温超電導線材

電線大手のフジクラが、送電ケーブルや電力貯蔵装置に用いる高温超電導線材の生産コストを半減させる技術を開発したと発表している。実用化のめどが立ったとして、2009年から製品供給を始めるそうだ。製造するのは磁場に強いことが特徴のイットリウム系酸化物を使ったテープ状の線材で、ニッケル合金の基材の上に中間層と超電導層を重ねた構造になっている。
1時間あたりの製造速度が、7メートルが500メートルになって、電流と長さの積で表す1メートルアンペアあたりの生産コストが従来の12円から5円に下がったという。イットリウム系は沸点が零下196度の液体窒素で冷却すると超電導になる。送電ケーブルや変圧器、電力貯蔵装置への利用が期待される。この生産方式の改善は驚異的とも言える。これで送電線に要求される高信頼性が維持できるのであれば実用的に使われる範囲は大きく拡大するだろう。アプリケーションを考えるには、曲げに対する柔軟性とかいろいろあるだろう。しかし、液体窒素を循環させながら効率よく冷却し、かつ外部から熱が入り込んで冷却効果を下げてしまうことのないような基本設計も構築しなくてはならない。また、暖まって気化する方向に向かう液体窒素を再冷却するのをどのように実配線で行うのか、知りたいところだ。
日経産業新聞のニュースで、超電導送電を大量の電力を消費するデータセンターに適用するケーススタディーを知った。しかも配線の抵抗がゼロになる超電導送電線に直流を流すことによって、交流であるが故に抵抗がゼロでも発生するロスを下げようとしている。それによってデータセンターの電力消費を40%も減らすことができるという。これは、変電所からデータセンターまでの送電線を超電導にし、それに直流に下げることも入っての数字だ。
面白い比較数字も出ていた。従来システムである金属導線に交流電力を3万キロワット流すのに比べて、それを直流電力に置きかえれば2万キロワットで済む。交流を高温超電導線に交流を流すと28,500キロワットになり、直流を流すと18,000キロワットで済むらしい。これで分かるのは、直流にするメリットが極めて大きいということだ。これからの直流化のメリットを示すものだろう。