効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

洋上LNG液化基地

今日新聞報道で知ったのですが、日本の資源開発最大手の国際石油開発帝石が、インドネシアで世界初の洋上液化天然ガスLNG)基地を建設する方向でインドネシア政府と合意するようです。
インドネシアは永年日本に大量のLNGを輸出しています。しかし、国内の需要が高まってきたことから、また、炭酸ガス排出量が低い化石燃料として国際市場で需要が高まっているのを見て、日本向けの輸出量を減らす方向に向かっています。石油についても昔は日本に輸出していたものが、国内需要への対応のために削減し、いまでは石油輸入国になっています。それと同じ事態になるのは、エネルギー政策としても地球温暖化対応施策としても、日本として絶対に避けたいところです。
国際石油帝石はインドネシアティモール海で大規模ガス田「マセラ鉱区」の権益を、日本としては珍しく100%保有していて、2015年から年間450万トンの天然ガスを生産し、全量を日本に供給する計画です。問題はこの鉱区がインドネシアから遠いということです。当初距離が近いオーストラリアまで海底パイプラインを建設して液化基地を建設する方向で検討していたようですが、インドネシアが強硬に反対したために海底ガス田の上に洋上液化基地を建設することになったのです。洋上基地はまだ世界のどこにも実用設備としては存在せず、その建設コストの高さとトラブルの可能性などからかなりプロジェクトのリスクが高いと想定されます。建設費は1兆円以上となるそうです。LNG需要はこれから確実に増大することは確かですが、石油価格の高騰を反映して高くなっている天然ガス価格が現在の価格を維持するとは限りませんから、不安定要素は少なくありません。ただ、この鉱区から採取される天然ガスは全量日本に向けられて、インドネシアが2010年以降の日本向けLNG輸出量を年間1200万トンから200〜300万トンにまで削減する計画の対象にはならないということですから、日本のエネルギー安全保障の見地から、多少のリスクは受け入れなくてはならないでしょう。この洋上基地が順調に建設されて、多少コストが高くても操業に大きな問題が出なければ、その技術自体が売れるものになるだろうと思われます。これには洋上基地からLNGを輸送する特殊な船を新たに開発する必要が出てくるかもしれません。プロジェクトが成功することを願っています。