効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力を全て自前にする

朝は雨が降っていたのが、夕方には晴れ間が出てきました。今日は大学で修士学生の指導。コース変更などで人数が2人増えて5人になりましたので、やりとりも面白くなりそうです。この間デンバーで開催されたE Sourceの会合でどのようなことを感じたかなどを少し紹介しました。自宅近くのバス停から歩いていると、これまで気がつかなかったキンモクセイの甘い香りがあちこちに漂っています。いままで雨の日が多かったので気がつかなかったのでしょう。これからしばらくこの濃密さを楽しめるのは嬉しいことです。
TDKは太陽電池などと蓄電池を組み合わせた住宅向け電力供給システムの事業化に乗り出すと報道されています。シリコンを使わず有機色素を原料にした色素増感太陽電池と、発電した電気を蓄えるリチウム二次電池を開発したのですが、太陽光や風力など自然エネルギーで発電した直流電流を交流に変換しないで、そのまま使用できる家庭向けシステムを構築するということで、家電メーカーなどと組み商用化を目指すとしています。家電メーカーから直流で動く家庭用電気機器を提供して貰うと解釈できます。
色素増感太陽電池酸化亜鉛(ZnO)と有機色素をもとに、非焼成の低温プロセスで製作。光ディスクなどで培った色素技術など転用し、開発に成功したそうで、光電気変換効率は7・9%。シリコンタイプに比べて変換効率は低いですが、太陽電池の場合、変換効率が低いと所要規模の設備の面積が大きくなるのです。それが乗せられるスペースがあると、電池コストがシリコンに比べて安いですし、色素増感型は柔軟な構造にもできますから、設置の自由度も高くなります。
このシステムを設置した住宅は、内部の電力供給が直流ですから、電力会社の系統から切り離されると考えられます。電力会社は顧客を失うわけです。また、従来のように昼間だけ、ということは、電力需要が多いときに発電してくれる太陽光発電のメリットを電力会社は享受できなくなります。もし系統に接続するとすれば、交流である系統電力を直流に変換して住宅の需要に応えなくてはならず、そのコストを考えると、蓄電池の容量を増やす方がコストも安く信頼性も高まるかもしれません。この住宅はオール電化ハウスになるのでしょうか。多分太陽熱温水器を設置して、ガスの瞬間湯沸かし器を利用しないと、蓄電池容量が不足するでしょう。また、調理器も大きなキロワットのものはガスの方が適しているかもしれません。悪天候が続いても電気が不足しないためには蓄電池の容量をどうするか、商品化までにはまだ時間がかかるでしょう。しかし、新しいエネルギー市場が生まれる兆しかもしれません。