効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

環境対応としての天然ガス

天然ガスは主成分がメタンで、日本で供給されているものは新潟にあるわずかの国産天然ガス以外は海外からのLNG輸入。地中から採掘されたガスを精製して液化する工程で硫黄分などの不純物が除去されているから極めてクリーンである。そして、石炭や石油に比べて、燃焼時に出るCO2の量が少ないために、地球温暖化対応としてもこれから重要な役割を果たすことが期待されている。しかも、米国を中心にシェールガス(頁岩の間に閉じこめられているメタンガス)の採取が実用的かつ大量に行えるようになり、世界全体の天然ガス産出量が増えている。米国では天然ガス価格が下がり、長期的にも低下が続くと予想されるほどだ。
日本にはこのようなガスはないようだが、輸入するLNGの価格を引き下げる効果に結びつく。一方、いままで重油などを使っていた商工業がCO2排出を抑制するために天然ガスに転換する方向に向かっている。その需要増対応も想定してのことだが、大手の都市ガスがLNG基地の増設や高圧パイプラインの延長に投資が向かっている。欧米では天然ガスをガス田から需要地まで大量に高圧幹線で輸送する事業者は、日本のような都市ガス事業者ではなく、輸送専業者が行っている。日本はそれぞれの都市ガス事業者がガスの製造から末端までの輸送を担当している。そのことも関係して、日本を縦断する高圧ガスパイプラインができていない。計画は昔あったそうだが、投資額が大きくて、都市ガス事業者の手に負えなくて立ち消えになったそうだ。
いま、大阪ガスが岡山までと中部地方まで高圧幹線を建設中だ。LNGについては、東京ガスが横浜の扇島工場にLNGタンクを増設する。さらに、西部ガスLNG基地を北九州に新設するし、青森や北陸にもLNG基地が建設されようとしている。商工業部門でも電力の攻勢は厳しいが、それに対抗しながら天然ガスの販売を増強することが、日本として進めなければならない地球温暖化対応に大きく貢献することになる。特に、エネルギー効率の高い天然ガスを使ったコージェネレーションを政府が施策として大きく増強させようとしているから、日本全体として天然ガスの販売量は増えるだろう。また、LNGをもっとも大量に消費する電力会社の発電用にも、コンバインドサイクル発電という発電効率が極めて高い設備も導入が進んでいる。これから一次エネルギーに占める天然ガスの比率がどのように上がるか注目する必要があるだろう。