経済産業省がやっと重い腰を上げた。東西で異なる周波数を変換して相互に融通できる容量が現在100万キロワットしかない。本当は120万キロワットになっているはずだったが、東清水変換所の設計容量30万キロワットが、送電線の容量を地域住民の反対で上げられなかったために10万キロワットとなっていたために100万キロワットにしかなっていない。この東清水を早急に60万キロワットに上げるというのは中部電力が発表していたが、これを政府資金でさらに上げようということのようだ。報道によれば、100万キロワットの設備を追加するのに1000億円規模の投資が必要だとあるが、この数字が公式に出されたのは初めてではないか。原発一基よりはるかに安い。今回の原発事故でピーク時にも西からの応援が最大100万キロワットしかないために、供給力が不足する可能性が高くなっての泥縄政策だ。数年前に柏崎刈羽原発が地震で止まったときにこの対策を考えていれば今頃は十分な相互融通ができたはず。それをしなかったのは、電力業界が自由化の拡大で独占を維持できなくなるのを恐れて反対したからだ。今回は調査費用として1億円を準備するようだが、関西電力や中部電力の発電所が止まる可能性もあるのだから、500万キロワットほどに増やすべきだ。
大きく増やせば、少なくとも風が良く吹く東北電力管内にある風力発電を増やして、大阪などに供給することもできる。ついでに北海道と本州の間の直流連系線60万キロワットも数倍にしないだろうか。そうすると北海道からも風力発電の電力を東京まで送ることができるようになる。また、電力会社以外の発電事業者が、周波数の違いを超えて遠くのユーザーに電気を販売することもできるようになる。建設にどのくらいの時間がかかるかだが、変換設備だけなら2〜3年でできるということを専門家から聞いている。このプロジェクトが日本の電力供給構造を大きく変えるきっかけになってほしいものだ。