効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

窓に打ち水

今日のニュースで、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)が光触媒冷却システムによる「打ち水効果」を世界で始めて実物件で実証したと報道されている。NEDOは実用化一歩手前の新しい技術開発を支援する組織であるから、この記事を見たときに何が新しい技術だろうと思った。道路や庭に水を撒けば涼しくなることは当たり前のことで、取り立てて実証する必要もない。
今回発表のものは、建物の窓ガラス23枚、約130平米に水を流すことでガラス表面温度が約10度下がり、室内温度も約2度下がり、冷房空調負荷は約20パーセント下がったというものだ。何が新技術だろう。
窓には窓本来の機能がある。その上に水を流せば、外が見えにくくなったり光が入りにくくなったり、外の景色がゆがんで見えたり、水の流れが目に入ってうるさいかも知れず、機能を阻害することになる。そうならないように、窓ガラスの表面に極めて薄い水の膜を均一に貼り付けたようにできるようにできる高い親水性を持つ酸化チタン触媒をコーティングしたというのが新しい技術だが、おそらくそれに加えて、水の蒸発量に応じた水流の調節、水を吹き付けるノズルの開発も必要だったに違いない。さらに、外部の気温、湿度、大気の流れに応じて水の蒸発量が大きく変化し、ガラスの表面が乾いたり濡れすぎたりしないように水散布量をコントロールする制御ソフトを新しく開発する必要もあっただろう。窓ガラス自体の特性も新しく開発しなくてはならなかったかもしれない。このシステムのコストが、冷房コストの低減と、冷房能力を引き下げることによる設備コストの低減に見合うものだとすると、新設ビルには面白いものになるかもしれない。環境貢献もするから優遇策も適用できるだろう。
この様な窓ガラスが普及すると、窓ガラスからの熱放射も下がるから、ヒートアイランド現象抑制の効果も期待できるとのコメントもあった。しかし、そこまでの普及を期待できるだろうか。それよりも、ビルの屋上に雨水を貯めるタンクの設置を義務付けて、屋根や壁に日中小量ずつ打ち水が自動的にできるようなシステムを開発するほうが効果的ではないかと思う。雨水だけでは足らない場合、中水があればそれで補給し、それが無理ならある限度までは水道水を使っても良いだろう。屋根や壁に損傷がでないような打ち水システムの開発も必要だろうが、このようなシステム開発NEDOはお金を出すだろうか。
ここまで書いてNEDOのホームページをチェックしたら、屋根や壁面への散水も研究テーマとして行われていることが分かった。失礼しました。