効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

赤外線を遮蔽するガラス

産業技術総合研究所が、可視光を透過させ熱線(赤外線)を反射する日射熱反射ガラスを開発したと発表した。家の外と中の温度差が大きいときに冷暖房装置を使用するわけだが、外の温度が中に入ってくるのは窓ガラスを通しての比率が大きい。そのために最近建てられた建物のほとんどに外気温が中に伝わりにくい複層ガラスを使って熱を伝わりにくくしている。また、赤外線を反射するコーティングをしたガラスもビルなどでは使われている。しかし、複層ガラスでも夏に直射日光が窓から差してくると、かなり熱く感じる。これを遮ろうとすると、光も遮ってしまい、部屋が暗くならざるを得なかった。
今度開発されたガラスの特性を見ると、ガラス基板上に酸化チタンと酸化ケイ素を主原料とする積層構造を形成し、各層の厚さをナノメートル・オーダーに制御することにより波長選択性の高い熱線反射を実現したという。開発した日射熱反射ガラスは可視光透過率が82%(実測値)で、日射中の熱線(赤外線)エネルギーに対する反射率はおよそ50%と概算されたそうだ。熱の半分は遮るが、明るさの8割以上を通過させているということだ。冷房が必要とされるような夏の昼間には、建物内に流入する熱量の71%が窓から入りこむといわれている。これから見ると、このガラスが商用化されれば、冷房負荷をかなり削減することが期待される。
産総研の発表では、複層ガラスより単純な構造で高い可視光透過と効果的な日射熱反射を両立するガラスの開発を進めているとしているが、単層ガラスにこの処理をして太陽光の赤外線を大幅に遮ることが出来るとしても、外気温でガラス自体が熱くなって、熱伝導で熱が室内に入り込むことを防ぐことも出来るのだろうか。おそらく新開発の日射熱反射ガラスを複層ガラスの外向きのところに使うことによって、いままでのLow E複層ガラスよりも光透過性と断熱性ともに高いものができるのだろうと推察している。