効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■日本発新素材「MOF」に世界が注目

微細な穴が無数に開いた金属有機構造体(MOF)が日本で開発されたようだ。この新素材が脱炭素のカギを握ろうとしている。この金属有機構造体(MOF)は1グラムにサッカーコート1面分の表面積があり、狙った物質をとじ込められる。この表面は物質を吸着する能力があるらしい。

果物の鮮度の維持や半導体の製造などで実用化されているが、応用の本命は環境分野だという。二酸化炭素(CO2)の回収や脱炭素燃料の水素の貯蔵に利用しようと世界中で研究が進む。既存の多孔性材料では、冷蔵庫の消臭剤に使われる活性炭や工場で有害物質の吸着などに使うゼオライトがあるが、MOFはより表面積が大きく、大量の物質を効率的にとじ込められる。物質の貯蔵や分離のほか、分子の化学反応を促す「場」としても応用できるということだ。

医薬・化学大手の独メルク系が国際的に供給し、大手半導体メーカーも使っている。ガスを小さな容器に大量に保管するには従来は高圧にする必要があったが、漏洩リスクがある。MOFを使うと低い圧力でも多くのガスを安全に保管、運搬できるようになった。

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は20年10月、MOFを使い、大気中に濃度0.04%しかないCO2を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」を安く実現する試験プラントを作ったと論文で発表した。MOFをセ氏80度に熱すると、このわずかなCO2を回収できる。

実験では濃度70~80%のCO2を500回以上にわたって性能を落とさずに繰り返し吸着、回収できた。1日に6キログラムのCO2を回収できる。1キログラムを回収するエネルギーを1.6キロワット時と世界最低水準にし、コストも1トンあたり35~350ドル(約3800~3万8千円)に抑えた。

炭酸ガスの直接吸収は、CO2をアルカリ性の溶液中で捕捉した後、約900度に熱して回収する方式などが主流だ。熱源として地熱などの高温が必要で、設置場所が限られる。MOFを使う方式ならば、工場やゴミ焼却施設の廃熱程度の熱源を利用できるため、多くの場所に設置できる。

これを火力発電所の排ガス中の炭酸ガス吸収に使える規模になることを期待したい。

 

 

 

 

 

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■北海道の洋上風力発電新設に大障壁

北海道には陸上にも洋上にも風力発電を大規模に設置することができると思っていたが、どうもそうではなさそうだ。旧電力事業者の系統に接続する条件が厳しすぎるからのようだ。

報道によると、北海道沿岸に大規模な洋上風力発電所を建設する構想が苦戦しているとのこと。経済産業省国土交通省は洋上風力整備の「促進区域」として新たに秋田県沖を選んだが、北海道は促進区域選定につながる「有望区域」への格上げもゼロ。大規模なウインドファーム建設のネックとなる2つの壁が表面化している。

「促進区域」「有望区域」は国の再生可能エネルギー海域利用法に基づく分類で、促進区域に選ばれれば発電事業者が30年間、指定された海域を占有できる。これまで全国で長崎県五島市沖、千葉県銚子市沖、秋田県能代市三種町男鹿市沖、同県由利本荘市沖の4カ所が指定され、9月に新たに同県八峰町能代市沖が選ばれた。

2020年の段階で、北海道では日本海に面した岩宇・南後志沖、檜山沖が、有望区域入りが期待される「準備区域」に指定されていた。21年には準備区域だった山形県などが有望区域に格上げされた一方、北海道は見送られた。

経産省資源エネルギー庁によると、区域の選定や格上げにあたっては各都道府県からの情報提供をもとに、一定の基準を満たしているかどうかを判断している。「北海道の場合、電源系統の確保が大きな問題になっており、漁業者との調整も壁になっている」とのこと。洋上風力で発電した電気は国の固定価格買い取り制度(FIT)を使って電力会社に売るため、電力会社の送電網に接続する必要がある。北海道では既に多くの太陽光や陸上風力発電所が送電網に接続しており、空き容量が足りない。北海道電力子会社の北海道電力ネットワーク(札幌市)によると、札幌近郊を除いた多くの地域で送電線の空き容量が少なく、接続するには容量が余っている時に再エネがその枠を活用できる「ノンファーム型接続」しかないのが現状だ。

地元の漁業者の合意については、新型コロナの関係で会合を持つことが難しいために、合意が遅れてしまっているようだ。北海道と東北で漁業が大きく異なる訳ではないはずだから、いずれこの合意は得られると考えられる。だが、大きなネックは北電の系統容量が絶対的に不足していることだ。新たな系統を設置するコストを全面的に風力発電事業者に負わせるというのも、カーボンニュートラルを目指す日本としては恥ずかしい話だと思う。どの程度接続容量が不足しているかを明らかにし、その拡張コストの負担をどのようにするかの施策が検討される必要がある。知恵を絞れば北電だけに依存しない系統接続を考案することは出来るのではないだろうか。電力広域的運用機関の存在価値はどこにあるのだろうかという感じもする。

 

 

 

 

 

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■森林資源の有効活用

全く知らなかったことだが、中国が猛烈な勢いで植林を進めていると報じられている。これまで、中国は地球温暖化対応に熱心ではないという印象を持っていたが、それが覆されたことになる。

国連食糧農業機関(FAO)の「世界森林資源評価」によれば、中国の森林面積は2010年から20年にかけて年平均で193万7千ヘクタール拡大した。その規模は2位のオーストラリア(44万6千ヘクタール)を大きく引き離し、世界一。アマゾンでの熱帯林の消失が報じられるブラジルの森林は年平均で149万6千ヘクタール減ったが、中国の増加分のほうが大きかった。

国土の砂漠化に悩んできた中国は「緑の長城」とも呼ばれる計画のギアをさらに上げる構えだ。ロイター通信は8月、国家林業草原局の幹部の話として、21年から25年まで年3万6千平方キロメートル(360万ヘクタール)のペースで森林をつくる方針を伝えた。毎年ベルギーの国土を超す規模で続く植林は、習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げる二酸化炭素(CO2)排出量を60年までに実質ゼロにする目標でも大きな役割を担うという。

日本も植林にまい進した時期がある。政府の方針で50年代からスギを中心とした植林が一気に進んだ。スギやヒノキは植え始めてしばらくは光合成が盛んで、CO2の吸収量が順調に伸びる。その後、環境によっても違うが、吸収量は下り坂となり、呼吸量との差し引きでみれば50年から70年を過ぎると植え始めとさほど変わらない水準に落ちてしまう。CO2の吸収力が弱る「森林の老化」を防ぐには適度に伐採し、木を植え替える必要がある。今は手入れをする人も資金も足りない。

2050年にカーボンニュートラルを実現する方策の一環として、まず国内の木材の消費を増やして伐採する老木を増やし、その跡に植林を進める必要があるが、これに従事する森林事業者への支援がなければなるまい。若手の林業事業者を増やすために、金融業界も資金を投入するべきだろう。かなりの努力は必要なことは確かだ。

 

 

 

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■ソーラーシェアリング

農林水産省による営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の最新の統計情報が公開された。今回は令和元年度末(2020年3月末)時点の統計データになるが、1年の遅れが傾向の判断に大きな齟齬を生むことはないだろう。

まず、営農型太陽光発電の一時転用許可の許可件数は累計で2653件で、単年度の許可件数661件は過去最高となっている。同様に、単年度の一時転用許可を受けた設備の下部農地面積181.6haも過去最高となった。累計の一時転用許可面積から推定すると、700~800MW程度が営農型太陽光発電の国内導入量となるようだ。

都道府県別の導入傾向を見ると、累計許可件数では全国トップの座を千葉県が維持してはいるものの、静岡県の猛追が凄まじく、令和元年度の許可件数は静岡県がトップの座を獲得している。

ソーラーシェアリングは、農業者がその保有する農地に、農業を続けながら可能な太陽光発電を行うものだが、時には日照量の変化で育てる品種が変わることもあるとは言え、農業を継続することによる収入と、太陽光発電の売電収益で、農家にとっても有効な事業になる。これには農地の一時転用許可が必要だが、農業の新しい事業形態が生まれたと解釈出来る。

太陽光発電が原因となる災害が起きてはいるが、殆どが斜面にあることが原因であることが多い。ソーラーシェアリングの場合、設置場所は農地だから、段々畑であっても、農地自体は平面にあり、自然災害が起きる可能性は低くなるはずだ。

最近、柔軟な太陽光パネルや透明なパネルも商品化される中、営農型のソーラーシェアリングは、農地の荒廃を防ぐ役割も果たすことになり、今度も拡大すると想定される。

 

 

 

 

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■バッテリー交換式EVトラック

伊藤忠商事は9月21日、いすゞ自動車JFEエンジニアリングなど4社をパートナー企業に、バッテリー交換式EVトラックと、同車両に搭載するバッテリーパック、バッテリーパック交換ステーションの開発を行うと発表した。商用車のEV化を促進し、物流網の脱炭素化を目指すということだ。電気自動車の蓄電池を交換式にすべきだとずっと前から主張してきたのが、やっと日の目を見たような気がする。

環境省の2021年度「バッテリー交換式EV開発及び再エネ活用の組み合わせによるセクターカップリング実証事業」に採択され、実施する。上記3社のほか、エッチ・ケー・エスファミリーマートが参画する。開発したトラックはファミリーマートの配送車として運用し、埼玉県の三郷中央定温センターから各ファミリーマート店舗までの走行実証を行う。実証期間は2022年度下旬から2024年度末までを予定している。同実証では「物流網の脱炭素化」をテーマに、トラックのEV化推進、バッテリー交換式EVトラックの利便性・コスト競争力の検証に取り組む。また、「地域の再生可能エネルギー利活用・BCP対応」をテーマに、再生可能エネルギーを活用したバッテリー充電、災害時の電力供給源としての役割(車両・ステーション)なども検証する。

この記事から見ると、環境省は必ずしも商用電気自動車だけを対象にして交換式にすることを目指しているのではないようだ。ただ、蓄電池の性能が年々向上し、蓄電池素材も新しいものが出ている現在、乗用車で交換式を強制することは難しいだろう。充電には時間がかかるものの、走行性能に大きな影響を与えるからだ。その点、商用車には利便性の方が有利に働くだろう。

日本政府は2050年までに「カーボンニュートラル」を目標として掲げている。全CO2排出量のうち約4割を運輸部門が占めており、物流網の脱炭素化は必要不可欠とされているということも背景にあることは確かだ。高い評価の出る実証をしてくれると期待したい。

 

 

 

 

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■20kW SOFC

今日オランダの友人からメールが入った。NGK・NTK(日本特殊陶業)が、新オフィスを小牧に作り、そこに日立造船製の20kWSOFC(固体酸化物電解質燃料電池)を設置したのを知っているか、というというものだった。しまった、報道記事を見逃したのか、と思って検索してみたが出てこない。日本特殊陶業のプレスレリースを見ると、この9月2日にレリースしている。SOFCのセルスタックは森村グループがつくったもののようだ。

燃料電池に長く関わってきたものからすると、これが報道されないのは信じがたいことだ。

政府がこれまで行ってきた燃料電池設置への補助金制度が、今年度からなくなったことから、これまでこの制度の中で補助金を受けたプロジェクトは把握することができていたのが、その情報を把握する手段がなくなってしまったのだ。日立造船のプレスレリースを見たら、この設置は報じられていない。メディアから見ると、日本特殊陶業といった、謂わば中小企業の新オフィスビルの完成だけの意味しかなかったのだろう。

しかし、SOFC発電効率が高いのに加えて、発生する熱も利用されるはずだから、将来のカーボンニュートラル実現に向けた一歩と把握すれば、ニュースになるはずだ。また、燃料電池は水素を直接燃料として使用もできるから、その意味も加えると報道価値は十分あるはずだと思うのだが、メディアにそのような分野への関心がなく、ただの新オフィスの報道をする必要はないと判断したに違いない。

エネファームにもSOFCが使われている700Wのものがあるが、規模の大きいSOFCの価値はこれから大きく評価されるようになると思う。それから見ると今回の無報道は残念なことだ。しかし、オランダの友人はどこからこの情報を入手したのだろうか。

 

 

 

 

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■Smart Community Summit 2021

今日午後3時から開催されたシンポジウム「Smart Community Summit 2021」を聴講した。3時になっても画面上には「お待ちください」が続いたので、自分の設定が誤っていたのかと心配したが、10分ほど遅れて始まり安堵。だが今度は音声が極めて聞き取りにくい状態で、こちらの通信状況の悪さかと思ったが、次第に良くなったのは、送信側に最初問題があったのだろう。

テーマに沿った講演を聞いて感じたのは、ヨーロッパや中国の再生可能エネルギー導入に対する姿勢は、増やした場合に起こる障害をいかにして克服するかであるのに対し、日本は、風力や太陽光発電は不規則に変動するからできるだけゆっくりと導入しようとしているように感じた。日本の電力系統制御をしている事業者は、できれば再エネは増やしてほしくないという姿勢であるように見えるが、欧州は、変動性再エネを多く導入するのは必然だから、全体の系統制御をそれに対応したものにしようとしている。

欧州は、従来型の発電所から、地域分散発電、蓄電、そして需要の制御まで、どのようにすれば最も有効に導入と制御ができるかを追求しているのに対し、日本は、現行の制御方式を出来るだけ変えないようにしながら、再エネを導入しようとしている、あるいは、してきたと思える。しかし、カーボンニュートラル達成を2,050年にするという目標が設定された今、欧州のような方向に向かう必要がある。

中国は2060年にカーボンニュートラル達成という目標で、日本より遅れているような印象を持つが、中国の国土の広さとエネルギー資源の特異性からくるもので、導入姿勢は欧州と同様だと感じた。

もう一つ思ったのは、交流であることによって制御が複雑になる側面があるのだから、以前に自分も参画したプロジェクトのように、周波数変動とは無関係な直流送電の導入を急ぐべきではないかということだ。また、系統制御が広域化するから、その系統制御はデジタル化、AI化していく。悪意のある組織が系統を擾乱させやすくなることは確かだから、その阻止技術の開発も進める必要があるだろう。

 

   

 

 

 

 

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