効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ダイキンのドイツ暖房メーカー買収

日経新聞8月30日号にダイキン工業がドイツの中堅暖房メーカーであるローテックスを100億円で買収すると報道されています。冷房分野に加えて暖房分野でも販路を確保するためとありますが、欧州では南部を除いて冷房マーケット、特に家庭用分野の冷房市場はほとんどありません。空調というとほぼ暖房ということになりますから、ダイキンを始めとする電気ヒートポンプ空調・給湯器を開発している日本の電機メーカーとすれば、売り込みに現地の販売チャネルを作ろうとするとどうしても暖房機メーカーの販路に依存しないと、一から市場を開発するのは難しいのです。提携ではなくて買収したというのは、本腰を入れていることが分かります。
欧州の給湯・暖房機は、ほぼ全てが貯湯式で瞬間式は最近出始めたところです。日本が技術でリードしている高効率のヒートポンプ暖房・給湯器、それも北部の寒いところでも実用的に使える技術が開発されたことから、欧州の電力会社も関心を高めていると聞いています。いま日本で盛んに宣伝されているエコキュートの技術を欧州にもって行くということです。
日本では効率の高い「エコキュート」として普及が進んでいますが、欧州で日本のような成功をおさめるかどうかは分かりません。ドイツやオランダなどの寒い地域では、地域暖房が普及しています。このような所では、暖炉は別にして、個別に暖房機を置くことはないはずです。また、暖炉に薪をくべることも日常的にありますし、木質ペレットのストーブやボイラーも、補助金が付いたりするケースもあるために、石油ボイラーに代わって販売を伸ばしているようです。何しろ家全体を暖房しないと命に関わることがあるほど冬の寒さが厳しいところですから、冬に見られる世帯当たりの熱需要は日本と比較できないほど大きいのです。その規模に適したヒートポンプ暖房・給湯器を新たに設計する必要があるでしょう。その時には現地のメーカーのノウハウも取り入れなければ、市場に受け入れられるような機器設計をすることは難しいのではないかと思います。
一方では、電気が安かった時代の延長で、電気のヒーターを暖房に使っている家も結構あるとも聞きます。これは効率が悪いですから、このような家を対象に電気ヒートポンプを入れることは電力会社としても歓迎するでしょう。寒い地域ですから機器のCOPもそれほど高くできないでしょうが、少なくともニクロム線を熱くして暖房するのに比べれば、熱効率は大きく向上しますから電力消費も抑制できます。地球温暖化防止の観点からも歓迎されるでしょう。これから数年の販売成果がどのようになるか興味を持っています。