効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本が1000億円

日本が地球温暖化対応の一環として、途上国でのエネルギー消費効率を上げるために、米国などから効率の高い発電機や消費機器の普及を図るために提案されている基金5千億円の内1000億円を拠出するつもりだと何度も報道されている。拠出額の比率としては拠出国の中でトップになる可能性もある。それ自体、7月に開催される首脳国会議へのお土産提案として考えられているのだろう。その効果がないとはいわないが、前の中東戦争の時に、汗を流さないでお金だけで対応しようとしたとして非難される、あるいは、折角国民の税金を使って行った貢献が全く無視されたのと同様の結果にならないか心配だ。中東の場合には憲法上の制約が言えたが、今度はそうもいかない。
炭酸ガス排出権取引をどのように行うかについて世界的に議論されている。最初にこのシステムを開発したのは英国だ。それがEUレベルに拡大している。企業に排出枠を割り当てて、それを超えて炭酸ガスを排出したときには、余らせている企業から排出枠を購入しなければならない。その排出枠の算定にはいろいろ当初から問題があったのは確かだったが、日本はその批判だけして強制的な枠組みを提案することなく、企業の自主的な規制に任せてきた。しかし、米国でもEU方式を採用する州も出始めていて、新しい政権が誕生したときには同様の強制力を持つ排出権取引制度が定着するだろう。
日本はやっと排出権取引制度をどのようにすれば導入できるかの検討が始まったばかりで、報道でも世界に取り残されること周回遅れだともいわれるほどだ。だとすれば、その遅れを取り繕うために1000億円のお金を出すという「積極姿勢」を示そうとしたに過ぎないといわれても仕方がないだろう。しかも高効率技術は日本が一番進んでいると日頃主張しているだけに、日本の技術を売るための施策だと言われる可能性もある。地球温暖化対応は世界で歩調を合わせる必要があるだけに、日本だけが制度確立に遅れた場合、どこからも相手にされないようになる可能性大だ。