効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■人工光合成

トヨタ自動車グループの豊田中央研究所は2021年4月21日、CO2と水から有用な物質を合成する「人工光合成」を、実用サイズの太陽電池を利用して実現し、変換効率7.2%を達成したと発表した。36cm角の太陽電池を利用したもので、このクラスでは世界最高の変換効率になるという。人工光合成とは、人工的に植物の光合成と同じ現象を発生させる技術。これまでの変換効率は、2015年に達成した当時世界最高の4.6%だった。

光合成は、植物の生命活動に利用されている現象で、太陽エネルギーを利用して、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から炭水化物などの有機化合物を作り出す。これの現象を人工的に発生させることができれば、地球温暖化の要因であるCO2の減少に貢献するだけでなく、環境負荷の高い物質を排出しない新たなクリーンエネルギーが得られる。

人工光合成によって作られるのは、蟻酸だそうだ。ここで使われるCO2の濃度はかなり高いだろう。ここで使われる太陽光発電パネルのサイズが大きくなれば、火力発電所から排出されるCO2の捕捉にも使えるかも知れない。発表された模式図を見ると、電極の構造を改良すれば変換率はさらに高く出来るかも知れない。

蟻酸の化学式は HCOOHで、 無色で刺激臭のある液体。蟻、蜂などの毒腺、松・樅(もみ)の葉、刺草(いらくさ)の刺毛などに存在する。これを原料にしたプラスチックができるだろう。まとまった生産量が出来るようになれば、いろいろな応用ができる。

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トヨタの発表した蟻酸製造方式

 

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■温暖化対応の企業姿勢

今日の英字新聞に、ニューヨーク市が石油メジャーのExxon, Shell, BPを、消費者に間違った印象を与える広告をしたとして、訴訟を起こしたという記事を見つけた。その主張はニューヨーカーをシステマティックかつ意図的に、化石燃料が途方もない影響を与えるのを隠すような行動をしたということだという。ニューヨーク市はこれらの事業者と石油連盟に対し、化石燃料の影響を隠すような行動を止めるよう求め、罰金を課そうとした。この行動は将来を担う子ども達に気候変動について正しい情報を知って貰うためだとしている。これらメジャーの行動は間接的に消費者保護法に違反したものだとの主張だ。

この訴えはバイデン大統領の主催した40ヶ国気候変動サミットの開催と同時に、州の最高裁判所に出されている。ニューヨーク市の弁護人は、消費者には正しい情報を受け取る権利があるが、石油メジャーは膨大な資金力で、消費者にグリーンな商品を提供し、温暖化対応を十分にしていると思わせる行動をとっていると主張しているようだ。

この訴訟が起こされたのは、今月に入って、連邦裁判所が、市に対する別の訴訟で、温暖化ガスの問題は連邦法で裁かれる、という判決をした後だけに、今後の展開に関心が集まっている。

石油メジャーは別にして、最近大企業がグリーン経営をしているという内容の広告や情報提供を盛んにしているのは、少しやり過ぎではないかと思っていただけに、この訴訟がこれからどのような展開をするかを追ってみることにする。

 

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■日本の温暖化ガス新目標、13年度比46%減

菅義偉首相は22日午後、政府の地球温暖化対策推進本部で、2030年までの温暖化ガスの削減目標を13年度比で46%減にすると表明した。現状の26%減から大幅に上積みする。化石燃料を大量に消費する経済構造から転換し、再生可能エネルギーの大量導入などにより実現を目指す。

一方米国のバイデン大統領はオンライン形式で開催された「気候変動サミット」で、世界最大の経済大国である米国が2030年までに温室効果ガス排出量を05年比で50?52%削減すると表明した。一方、世界で最も大量の温室効果ガスを排出する中国は、習近平国家主席が石炭に依存したエネルギーシステムの改善と「グリーン開発」に取り組む考えを示し、26─30年の石炭消費量を21─25年の水準から段階的に削減する方針を明らかにした。

これまでパリ協定で示されてきた目標を大きく引き上げては居るが、その比較対象年がまちまちで、具体的な施策が示されたわけではなく意欲の表明だけだということだ。

米国については、共和党がどのような協力姿勢を見せるかはこれからだろうし、エネルギー産業の協力姿勢も定かではない。

日本についても同じことだ。目標に対応する具体策はこれからだと言うことになるが、30年迄の間にできることは限られてくる。菅首相は再エネに重点を置くと言ったそうだが、今の再エネ比率を上げる方策を具体化するのは至難のことだろう。

意欲だけの表明を、これから各国がどのような具体策に落とし込んでいくかを注視しなければならない。新コロナウイルス感染の波によって落ち込んだ経済を建て直しながら温暖化ガス排出を削減するのは不可能に近いような感じがする。

 

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■グリーン水素発電

昨日報じられているが、独立系の新電力大手、イーレックスが、水素を燃料にし、二酸化炭素(CO2)を排出しない発電所を2021年度内に山梨県で稼働させる。経済産業省によると水素発電所の商業運転は国内初。まず一般家庭約100世帯弱が1年間に使用する電力を賄える規模の発電所を設ける。発電規模は300kW程度のようだ。この水素が化石燃料を分解して作ったものなら、単なる水素利用の実験に過ぎないが、水素は水素製造のスタートアップ、ハイドロゲンテクノロジー(東京・中央)などから調達したもので、初めて知った方法で水素を製造している。ハイドロ社は電気石トルマリン)や黒曜石などを含む「超マフィック岩」と呼ばれる石と水を反応させ、水素を生成する。超マフィック岩は炭素を含まないため、水素の製造過程でもCO2は出ない。同社は山梨大学などに販売実績がある。

水を電気分解するのではなく、一種の触媒効果を持つ材料と水を反応させて水素を作るのだから、一度に大量生産するのは難しいだろうが、実用規模の量は製造できているようだ。ハイドロ社の水素の製造コストは1立方メートル当たり70円程度(1キログラム当たり約784円)する。これをイーレックスに30円程度(同約336円)で販売するため、ハイドロ社は40円程度の差損が出るが、大口顧客との取引で生産量を増やし20円以下までコストを引き下げるというが、このコスト差を本当に小さくして利益が出るまでこの事業が継続できるのかが心配だ。

イーレックスは将来的に5万~10万キロワット程度の大型の発電所をつくり、発電コストを現状想定する1キロワット時当たり58円程度から17円以下にすることをめざすということだが、かなり現実離れしたストーリーのような気がする。とはいえ、この勇気には感心させられる。

 

 

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■北海道でも再エネ出力制御

北海道電力子会社で送配電を担う北海道電力ネットワーク(札幌市)はこの20日、北海道内で再生可能エネルギー発電所の出力制限を検討していることを明らかにしたと報じられている。先日は東北電力について同様のことを書いたが、北海道ではかなり前から出力制御をしていると思っていた。これまで出力制御をしていなかったとしたら、北電が系統制御について努力したことを評価したい。

というのは、北海道には風力発電所の適地が多く、太陽光発電も増えている。だが、北海道と東北を結ぶ電力系統連系線の容量が90万キロワットと小さいために、再エネが大きく増えると道内では消費しきれなくなる。天候予測を精密に行うことによって、電力需要をその時間帯に増やすようなデマンドサイドへの働きかけをしていたのかもしれない。

対象となるのは太陽光発電所と風力発電所合わせて約4150カ所で、家庭の太陽光パネルは含まない。連休中は気温上昇で暖房に電気を使わなくなるうえ、企業や工場も電気の使用量が減る。北電ネットワークの送電網に接続する再エネ発電は年々増えており、系統制御が難しくなるのだろう。北海道エリアでは2018年度末時点で再エネが175万kW(太陽光131万kW+風力44万kW)導入されているが、将来447万kW(太陽光185万kW+風力262万kW)になると想定されている。

いま北海道に洋上風力発電設置計画が進んでいるが、それを送電する海底電線を延長させて東北地方のどこかに接続すれば、連系容量が増えることになるのだが、これは北海道電力へ政府資金を投入して、2050年カーボンニュートラルの実現を促進するようにすべきだと思う。北海道の再エネ潜在量は大きいのだから、それを十分に活用できる施策を打ち出してほしい。

 

 

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■藻場の消失

昨日、NHKの番組で驚くような事実を教えられた。日本の海岸の藻場が消失しつつあると言うことだ。海岸線に沿って藻が育っていなければ、それを餌にして育つ貝や魚の生きる場がなくなる。また、藻を採取して食料品を作る産業も消滅する。藻が消失した原因は海水温の上昇だ。一部の地域の海水温が時には摂氏30度にもなり、藻が育つ環境がなくなっている。

海水温は一度上がるとなかなか下がらない。大気に熱が逃げにくいからだ。これまで、地球温暖化、あるいは、気候変動の問題を大気温度の上昇と認識しがちだったが、それが海水温にまで及ぶのは当然と言えば当然。それを認識していなかった。海水温の上昇は海流の流れ方も変化させ、それがさらに藻場の成長を妨げるようになる。1~2年迄の藻場の映像には沢山の魚が泳いでいたが、今年の映像には藻が全く育って居らず、魚は一匹も写っていなかった。この変化は一時的なものではないから、沿岸漁業は急速に壊滅することになる。この変化をさらに継続して調べる必要があるだろう。

 

 

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■真空断熱ガラス樹脂サッシ

パナソニックのハウジングシステム事業部は4月14日、樹脂サッシメーカーのエクセルシャノンと、国内最高クラスの断熱性能の樹脂サッシを共同開発したと発表した。同製品は、パナソニックの真空断熱ガラス「Glavenir(グラベニール)」とエクセルシャノンの高断熱フレーム「UF-H樹脂フレーム」を組み合わせた樹脂サッシ。

複層ガラスを使った窓は少しずつ普及し、新築の建物ではこれが主流になっているだろう。自宅を20年以上前に建てたときに複層ガラスを使ってほしいと依頼したら、北海道にしかないので勘弁してほしいといわれた。だが、リビング部にだけは海外製の複層ガラス窓を取り付けてくれたことから、いかに温度を遮蔽する効果が高いかは体感している。

今回開発されたものは3層のガラス構造で、屋内側に、約6mmの薄さで国内最高クラスの断熱性能を発揮するグラベニールを搭載し、ガラス面の断熱性能を最大限に高めたという。フレーム部分は高断熱構造のフレーム内に断熱材を充填することで、窓全体の熱貫流率(熱の伝わりやすさを示す数値、試験値)が縦すべり出し窓(連窓)で0.52 W/(m2・K)、FIX窓で0.47 W/(m2・K)と国内最高クラスの断熱性能を実現したとしている。

だが日本家屋が新築されるときにこの高断熱窓を採用するとしても、床や壁部分の断熱をよくしなければ、熱が集中的にそちらに流れてしまう。まず家全体の断熱をどのようにするかを考えた上でこの部材を使用すべきだろう。この高断熱サッシは24時間空調をしている病院などに最適なものとなるはずだ。だが、コストがどれほどになるかが大きな課題となる。3層ガラスだから遮音性も高い。空調コストがどれほど下がるか、遮音性能をどのように評価するかという設計段階の方針で普及度合が左右されるのではないかと思う。

日本のエネルギー消費を巡る課題は建物全体の断熱度を高めるところにあると思っている。個々の建物のエネルギー消費を抑えるには、壁構造や屋根構造も含めて断熱しなければ、窓だけでは極めて不十分となるだろう。建築基準法の改定をするくらいの働きかけをして、普及させてほしい製品だと思う。もう夏を旨とすべき時代は過ぎたのだ。

 

 

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