効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カリフォルニア州の電力完全カーボンフリー

米国カリフォルニア州議会の下院は2018年8月29日、2045年までに州内の電力の100%を温室効果ガスが排出されないエネルギーで賄うとする法案「SB100」を可決したということだ。同州はこれまでも発電電力の再エネルギー比率を高める努力目標を高くしていたが、SB100ではこれまでに同州で策定されていた再エネ利用比率基準(RPS)を踏襲しつつ、さらにクリーンエネルギーの導入比率を高めていくことが策定されている。ジェリー・ブラウン知事は、再生可能エネルギーの導入に積極的な姿勢を示しており、同知事が署名すれば州法として成立、施行される。具体的には、電力の再エネ比率を26年までに50%に、30年までに60%まで引き上げ、最終的に45年までに温室効果ガスを排出しないエネルギーで電力をすべて賄うとする。「再エネ100%」ではなく「温室効果ガスを排出しないエネルギーで100%」としているのは、原子力発電や二酸化炭素回収貯留(CCS)といった再エネ以外の他の技術でも目標を達成する余地を考慮したためというが、同州で唯一稼働中の原子力発電所である「ディアブロ・キャニオン原子力発電所」は、25年に廃炉となることが既に決まっている。CCSも技術的、コスト面での課題が解決されるかどうか不確かなため、実質的に、コストダウンの進む再生可能エネルギーの利用ということになる。これに伴って予想されるのが、電気ヒートポンプ給湯と暖房を、ガスを燃料とするものから切り替えさせる誘導策が導入される可能性が高いということだ。もし使用する電力の再エネルギー比率が上がれば、極めて高効率な電気ヒートポンプにすれば、温暖化ガス削減効果を大きくすることができるからだ。新築住宅には電気ヒートポンプ給湯暖房が義務づけられるかもしれない。これに対してガス事業がどのような事業運用をするか、今後の動きに注目する必要があるだろう。日本ではまだまだはるか先の話ではあるが。