効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

トランプ政策と石炭

ファイナンシャル・タイムズが面白い論評をしている。トランプ米大統領が世界の気候変動との戦いを主導する存在になろうとしている、というものだ。トランプ氏は温暖化対策に関する「パリ協定」からの離脱を公約している人物だ。 だが、世界の経済成長にもかかわらず、化石燃料の使用による炭素排出量が3年連続で横ばいとなっていることを示す国際エネルギー機関(IEA)の最新データは、トランプ氏が気候変動対策に予想以上の役割を果たす可能性があることを示唆している、という理屈だ。排出量が頭打ちになった一つの理由は、トランプ氏の称揚するシェール革命が米国で安価な天然ガスの生産急増につながり、石炭を押しのけていることだ。シェールブームによるガス価格の低下は、さらに進む可能性がある。安価なガスがアジアで石炭に対する競争力を増し、世界の炭素排出量がさらに減ることにつながりうる。現在、世界全体のエネルギー構成でガスの割合は25%に迫っているが、中国では6%、インドでは5%である。しかし、IEAの事務局長は、大気汚染の問題を受けて、中国とインドではガスの「大幅な増加」が続いているとしている。 トランプ氏は大統領選中、苦闘する米国の石炭産業をよみがえらせるという公約を繰り返し、炭鉱労働者の「最後の頼みの綱」を自任したが、その公約を実現するのは無理かも知れない。