効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

帝人が炭素繊維の生産力倍増

COP22のパリ協定が11月4日に発効した。この発効に到った力に日本は加わることが出来なかったのだが、国際社会はモロッコで7日開幕する第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)で協定実行のためのルール作りの交渉に入る。批准したのは世界最大の排出国である中国のほか、米国や欧州連合(EU)、インド、ブラジル、メキシコなど。気候変動枠組み条約事務局によると、3日現在で94カ国・地域が批准している。日本はパリ協定の発効時期を見誤り、批准へ向けた手続きが遅れた。そのため、COP22の期間中に開く批准国による第1回締約国会議(CMA1)へはオブザーバー参加にとどまる。環境関連の先端技術を持つ日本の意見が反映されて、国際基準などが設定されなくてはならないのだが、今国会で批准手続きが完了されなければ、いろいろな側面で不利な条件設定がされないとも限らない。
地球の気温上昇を産業革命前から2度未満に抑えるためにはお題目だけではなく、具体的な事業活動に結びついた行動が必要となる。それを見越している側面もあるかも知れないが、帝人は4日、米国で炭素繊維の生産を再開すると発表した。2030年ごろまでに約600億円を投じる。生産能力は今後詰めるが、米国での生産再開により帝人の全世界での生産能力は2倍程度に高まる見通し。軽くて強い炭素繊維は自動車や航空機の軽量化に貢献する素材として需要が拡大する。帝人は13年に米国での生産を中止していたが、航空機や自動車生産が活発な米国での事業拡大には現地生産が必要と判断したようだ。移動媒体の重量を引き下げるのに軽量で今日純なスチールが開発され利用されてきたが、スチールより強度があり、最近加工技術も伴ってきた炭素繊維強派樹脂(CFRP)の需要が世界的に増大するのは確実。だが、日本では鋼材技術が優れていて、製鉄事業の根幹となっているだけに、これまで欧州などの自動車メーカーには遅れをとっていると言われている現状を打破することも必要となる。政府レベルでの業界調整が必要になってくるかも知れない