今日は日本の産業界にとって大きな歴史を刻んだ日になるかもしれない。経営が危機的状況になるシャープは、25日の臨時取締役会で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの買収提案を受け入れる方針を決めた。シャープは鴻海傘下に入り、不振の液晶事業などの立て直しを急ぐ。外資企業による日本の電機大手の買収は初めて。鴻海はシャープを傘下に収めて世界で事業を拡大する。鴻海は米アップルのスマートフォン(スマホ)の受託生産が売上高の大半を占めているが、世界的に需要の伸びが鈍化しており、収益の多角化が急務だった。液晶や白物家電など幅広い製品と技術を抱えるシャープを買収して韓国サムスン電子などに対抗したい考えだと報じられている。シャープは液晶事業の不振で2015年3月期に2200億円超の連結最終赤字となった。16年3月期も厳しい状況が続き、目標としている100億円の営業黒字の達成は難しい状況だ。単独での再建は難しいと判断し、鴻海からの支援を受け入れることにした。当初、国の革新機構案を受け入れる方針だったが、鴻海の提示した支援額が驚くほど大きかったことから、最終的に鴻海の傘下に入ることにしたものだ。これがどのような行程で今後経営立て直しになるのか、あるいは、鴻海のいわば餌食になるのか。日本の大手企業、それも日本の技術のシンボルとも言える企業が海外企業に買収されたのだから、シャープの経営判断が正しかったかどうか、今後の展開を見なければなるまい。