効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

山形県最上町の木質バイオマス利用

最近木質バイオマスの利用を巡る報道記事がよく見られるようになった。森林材を切り出して搬出し、乾燥させて本来の製材に使った後の残材をチップ化するなどしてエネルギー源として発電やボイラーに利用するのだが、これまでも述べているように収益性のあるプロジェクトにするにはいろいろな条件が満たされなければならない。それに最上町が成功しているということだ。この町は、森林が84%を占める人口約9300人の町で、来年には間伐材による発電も始まるということだ。報道では、JR最上駅にほど近い一角に、町立病院や特別養護老人ホームなど保健・医療・福祉・介護の施設が集中立地する「ウエルネスプラザ」という一大拠点がある。冬は積雪1.5メートルにもなる豪雪の町で、これらの施設の暖房などに活躍しているのが3基のボイラー。燃料となるチップはすべて町内で切り出された間伐材からつくられているとある。最初からうまく行く話ではないが、町で全ての燃料を賄えてほとんど過不足がないというのは、上手な計画を最初に作ったからだろうし、それに協力する住民の力も大きいのだろう。最上町では「スマートコミュニティ構想」を掲げ、20年までに消費エネルギーの20%を再生可能エネルギーに置き換えようという計画で、間伐材による熱供給エリアを広げる考えで、国の補助も貰っている。7月には、再生可能エネルギー発電事業者のZEデザイン(京都市)、小型バイオマス発電装置を手掛けるZEエナジー(東京都港区)とガス化発電事業で覚書を締結した。ZE2社は10月、1000キロワットの小型発電所建設に着工、1年後の16年10月には発電を開始するというから珍しい成功例の一つだろう。投資額は全体で約10億円。当初は東北電力に売電するが、将来は電力を町に優先販売し、町の電力会社としてエネルギーの地産地消をめざすというから構想は雄大だ。ぜひ先行事例として良い結果を示してほしいものだ。