電気自動車は一種の蓄電池扱いで、電気事業法上「電力貯蔵装置」とみなすことから、「一般用電気工作物」と見なされ、保安規程、主任技術者、工事計画の届出等が不要となっている。ところが、燃料電池自動車は移動可能な発電装置と見なされるため、現行の電気事業法では、保安規定を定め、電気主任技術者を選任しなければならない。これは今年から発売されるとされている燃料電池自動車の普及を妨げる可能性があるということから、経済産業省は水素で動く燃料電池車から住宅に電気を供給できるように年内に規制を緩和することを定めた。新聞などには住宅への給電が簡単にできるような説明がなされてきたが、このような規制緩和が実現しなければ実行できないのだ。自分もそれほど簡単なことではないとは思っていたが、電気事業法の規定が問題となるところまでは考えていなかった。経産省は電気事業法の省令を2014年中に改正して資格を不要にし、一般の人でも家庭に給電できるようにするということだ。燃料電池自動車が移動発電設備であることは間違いないし、その容量も電気自動車より大きくなるはず。この規制緩和がなければ宝の持ち腐れになる。この種の規制緩和が必要なものは、新しい電源の中に結構多いのかもしれない。燃料電池自動車に水素を充填する設備についても、規制が障害になっている部分があると聞く。再生可能エネルギーの利用分野でもこの種の規制が重荷になっていることもあるのだが、先回りして緩和をする努力が必要だろう。