効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

水素の貯蔵と利用の新技術

燃料電池自動車の普及には水素の充填設備が多数設置されることだが、水素を安全、手軽に輸送して貯蔵し、手軽に充填することが簡単な話ではないと、少し前に書いた。その障壁が解決される可能性を高める技術が千代田化工建設によって開発されたと報じられている。液体化して体積を500分の1に小さくし、常温・常圧で貯蔵や輸送が可能になり、水素社会への扉を開くものと国際的にも注目を集めているという。この新技術は、有機溶剤のトルエンと水素を化学反応させメチルシクロヘキサン(MCH)という化学物質にして水素を貯蔵・輸送する技術で、ガソリンと同じように貯蔵したり運ぶことができる。液状の水素化合物としてハンドリングしやすくするということだ。
この技術自体は従来からあったが、これまで実用化できなかったのは、MCHに固定した水素を再び気体の水素にする脱水素化技術がなかったからだという。ところが千代田化工建設は、この脱水素をする触媒を新規に開発したのだ。同社によると、「従来の脱水素化触媒は寿命が課題で、2〜3日で使えなくなった。私たちが開発した触媒は1年(8000時間以上)は十分使える。白金の触媒で、自動車排ガス浄化用触媒と同じく、劣化したら回収して再利用が可能だ。初期投資はやや高いかもしれないが、運転コストは安い触媒だ」ということのようだ。応用範囲が広く、新しいビジネスモデルを創り出す技術になる可能性が高い。3年以内に実用化すると考えているそうだから、楽しみではある。