効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

廃炉費用

経産省は、東京電力福島第1原子力発電所1〜4号機の廃炉費用が100億円増えるごとに家庭用の電気料金が月約1.9円上がるとの試算をしているそうだ。一方、経産省は、電力会社が原発廃炉で被る巨額の特別損失を、複数年に分割して電気料金の原価に算入できる新たな会計制度の骨子案を示している。廃炉にはこれから30〜40年かかると言われるが、実際にはもっと長期になるのではないか。これまで原発の発電コストは安いというのが錦の御旗だったが、廃炉は福島だけでなく、他の発電所でも対象になるところが幾つか出るはずだから、今の料金構造からするともっとも安いといわれる発電原価が急騰する可能性が高い。もともと、原発に関する諸経費を小さく見積もる、あるいは全く考慮しないことによって原発の普及を図ってきたという歴史があると考えているが、それが完全に裏目に出てしまった。廃炉費用が全体で幾らかかるかは誰にもまだ確定的には分からないのだが、廃炉は先の話とされてこれまでベールの裏に隠されていた現実が露呈して、原発からの電気は天然ガスや石炭火力よりも、あるいは、再生可能エネルギーからのものよりも高くなるだろう。暫定的な稼動再開は仕方がないと思うが、原発は安という前提では考えない方が良いと思う。どの原発にも廃炉は不可避だし、福島のような特殊なケースほどではないにしろ、長期を要するものだから、日本全体で必要なコストをもっと明確に示す必要があろう。
朝日新聞が、原発を40年で廃炉にする場合、国内の原発50基のうち8電力会社の34基で、将来の廃炉のために積み立てているお金が予定より不足していることがわかった。今年3月までに必要な積立金より計約1700億円足りず、不足額は今後もふくらんでいく見通しだとしているのが参考になる。