効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ガスタービンの設計思想の違い

エンジン大手、米プラット・アンド・ホイットニーの中小型ガスタービン事業ユニットであるプラット・アンド・ホイットニー・パワーシステムズ(略称PWPS)を、三菱重工業が買収した。これを報じる記事を読んだとき、同じ商品を作っているのになぜ買収したのか、と思った。だがPWPSが作るガスタービンは3万キロワットまでの中規模なもので、三菱重工が作っているのは30万キロワット級の大型タービンだと知ってなるほどと思い、さらに、両商品系列の設計思想が違うということも初めて知ってさらに納得した。
PWPSの中型タービンは航空機用エンジンに使うタービンで、効率性を重視しているために摂氏2千度ほどの高温で燃焼させる。航空機用ガスタービンを発電用に転用したということは前から知っていたが、それが故に、このタービンは短期間で整備をしなければならない。着陸するとすぐに整備するように、頻繁な整備を前提にしている。そして、起動が短時間でできる。ところが三菱の大形タービンは、四六時中運転を継続することを前提にしているために、燃焼温度が1500〜1600度程度と低いのだそうだ。
三菱重工は、PWPSのタイプのものを、風力発電などの変動を抑制するのに利用するつもりらしい。変動への追随が容易だが、常時発電している必要性は低い。もしもこれに使う燃料がバイオマスからのものであれば、全体で再生可能エネルギーシステムだと言えるし、系統に与える影響も抑制できる。いま欧州、特にドイツなどが頭を悩ましている風力発電の利用拡大に伴う系統への悪影響を小さくできるから、これからの市場に対応した商品なのかもしれない。三菱重工は欧州の風力発電市場にも進出しているのだから。