効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

水素貯蔵合金

燃料電池の開発が始まった頃から、大量の水素を安定的に吸収して長期に保存できる合金の開発が続けられてきた。しかし、吸収量を高めるにはいろいろなハードルがあったようだ。合金自体の重量があるから、吸収効率が高くなければ輸送用燃料には使えない。あるいは設置面積が大きくなりすぎる。吸収したガス体を放出するときの安定性、迅速性を両立させなければならない。天然ガスを燃料とする自動車は、ガスを高圧で圧縮、保存、運搬する技術が一応確立している。水素ガスは天然ガスに比べて分子の大きさが小さいので高圧保存が難しい。リークしたときの安全性も課題となるからだ。
神戸製鋼所筑波大学が大量の水素エネルギーを低コストで貯蔵できる金属材料を開発したと報じられている。温度条件を変えることで水素を大量に吸収・放出する働きを持つ。貯蔵タンクに使えば、通常の金属材料に比べて3〜4倍の水素を貯蔵できるというから実用的に使えるものになるかもしれない。これまでの合金の配合比率を変えて摂氏1,100度で混合させることでこの吸収効率を出しているそうだ。新合金は水素タンクの内側の材料に使い、摂氏約20度にするとタンク内の水素を吸収し、80度に加熱すると放出するそうだから、使い勝手は悪くなさそうだ。新開発の金属タンクは通常の気圧で使用可能なため、コストを抑えられるし、高圧方式のタンクに使えばさらに貯蔵量が増えるという。期待を持たせただけに終わらないよう実用化の道を歩んでほしいものだ。