大阪北にあるよく知られた2つのビルが緑化されるという。建築デザイナー安藤忠雄さんの提案が受け入れられたもの。梅田スカイビルは地上40階、高さ173メートルあり、最上階部分が大きな廊下で繋がれている。ビルの壁面はガラス張りだが、敷地内に植物をあしらった高さ10メートル、長さ120メートルの壁を新設するのだそうだ。来年6月完成予定。もう一つは大阪マルビル。JR大阪駅のすぐ南側にあって大きな円筒形のもの。これは外壁にステンレス網を取り付けて、ツタやカズラなどの植物を絡ませる。この作業が来年の1月に始まり、高さ約30メートルまでの緑化を目指している。新しい景観が生まれることを期待したい。
共に植物という生き物を相手にするだけに、その育成が外観を壊さないようにするために可成りの人手を要するだろう。以前ビルの屋上や庭にビオトープを作るのが流行したことがある。ところが、十分な人手によるケアーがなされなかったためにビオ・どぶになってしまったものも多い。もともと自然の流れがあるところであれば生物が育つが、水が淀んで沈殿物やゴミが溜まると悪臭を出すため池になってしまう。今回のビル壁面は、そのような手入れにも十分な配慮がなされているとは思うが、ケアーに必要なコストは意外に大きいかもしれないし、予想もしなかったことが起きないとも限らない。
梅田スカイビルにある2つの建物の間を吹き抜けるビル風はかなり強い。これに対抗する方策も必要だろう。この風を利用して小風力発電をするよう提案したことがあり、デザイナーが面白いといったこともあるものの、結局実現しなかったことをいま思い出している。この高さがあれば、ビルの頂上からの水の流れを利用して小水力発電も可能だが、後から発電設備を取り付けるのは難しいだろう。