効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力を電力会社の枠を超えて輸送

今日の日経新聞で知ったことだが、東ソーはこの夏、自家発電設備に余力ある山口県の工場から、電力供給能力が逼迫している九州電力管内の2工場に電力を融通する。電力会社の境界を超えて自家発電の電力をやり取りする「みなし節電」制度を活用する計画で、近く中国電力九州電力電力需給契約を結ぶという。中国電力管内の南陽事業所(山口県周南市)には出力82万9100キロワットの石炭火力の大型自家発電設備があり、この余力を活用して、宮崎県日向市と同県高鍋町の2工場に計1万500キロワットを送る。最初にこの制度を活用したのは日本製紙だということは知らなかった。このグループの日本製紙八代工場(熊本県八代市)の自家発電設備を活用し、同工場から両電力会社に対し余剰電力約3メガワットの送電を行い、その送電分を、関西電力管内にある同社グループの7事業所、および四国電力管内にある7事業所、合計14事業所における節電分として見なすものだった。東ソーは2例目となる。日本製紙の場合、3つの電力会社にまたがり、東ソーの場合は2電力社だが、現在のような全ての電力会社が供給力不足に陥るという事態でなければ実現することはなかったものだ。東ソーのケースで言えば、中国電力の管内である山口県から、九州電力管内にある2工場に電力を送ったことになる。中国電力は比較的供給力不足が小さいため、山口県内の東ソーの工場が余計に発電したものは、中国電力の供給力が増えたことになるため、それを九州に送ると、その分だけ九州電力の供給力が増えたことになり、それだけの分は東ソーの九州2工場が余計使えるという仕組み。普通ならこういういわば転送は、託送料をとられるはずだが、「みなし節電」ではそれが必要なくなっているのだろう。工場サイドでは、節電および自家発電設備の活用により節電要請をクリアするというメリットがある。このようなケースは周波数の異なる東西間では無理かもしれないが、同じ周波数の領域では、これから続出するのではないかと思う。