効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カナダの変身

ワシントンポストの記事だが、これまで環境保護に熱心であることで知られていたカナダが、森林、湖沼などの保護を目的として法制を緩める方向に舵をきったということだ。そうさせたのは、いまシェールガスとかシェ−ルオイルがカナダで大量に産出されるようになっているのを、日本などのアジアへ輸出するために、ガスや石油の産出地からカナダ西海岸までパイプラインを敷設するためだ。これまでの環境保護法を前提にすると、パイプラインが横切る湖沼、川、山について厳しい条件が課されているために、事実上プロジェクトが成立しない可能性が高いからだという。この法改正にはカナダだけではなく米国の環境保護団体などが大きな反対の声を上げ始めている。一つのきっかけとして、米国へ石油を輸出するパイプラインをオバマ政権が認めなかったこともあって、輸出先として米国しかない現状を打破する政策をとったとも言えるという。環境保護の力を弱めれば、海外からの投資も入りやすくなるという思惑もある。現在アジア諸国は高い価格の原油LNGの購入を余儀なくされているため、北米からの輸入によってその価格を少しでも引き下げたい。米国のシェールガスLNGにして輸出する計画もあるが、米国政府はこれを許可するについてかなり消極的だ。この間野田首相オバマ大統領と会談したときにこの輸出問題を持ち出したが、大きな政治問題になる可能性があるとして米国側は何の言質もあたえなかったという経過もある。輸出プロジェクトが実現するには数年かかるが、その時アジアが調達するエネルギーの価格がどうなっているか、必ずしもはっきりしてはいないが、カナダ政府の姿勢の変化がアジアに与える影響は大きいだろう。