効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国のシェールガス

シェールガスは、もともと天然ガスはあるが地層構造が堅牢でガスを採取することが非常に難しかったものを、高圧の水と一種の潤滑剤を圧入して地層構造にヒビを入れてガスを取り出すのに成功し、これがコスト的にも引き合うことで新しいガス田として開発が進んでいる。米国では、昔炭鉱と製鉄事業で栄えた東部のアパラチア地域が、これまで、両産業の衰退で雇用を失い、貧困化が進んでいたのだが、このシェールガスが埋蔵されていて開発が進んできたことから活性化し始めているという。従来のガス田や油田とは場所が異なるので、凋落した経済を起死回生させるものになると期待されている。米国経済にとっても大きなプラスとなる。しかし、新しいガスの採取法には大量の水と化学物質が必要なことから、地下水の汚染、地下構造の脆弱化による地震の発生の可能性も指摘され、一部の州ではシェールガスの採掘を許可していないところもあるらしい。汚染については米国環境省も調査をしており、一部については否定的データもあると聞く。しかし、産出量全体としては急速な増加を示していることから、天然ガス自体への需要が、石炭の利用からシフトしている発電燃料として増大していて価格の上昇が心配されていたのが大きく緩和され、長期的には供給力余剰がでてくるという予想もある。そうなると、コストが高くても買ってくれそうな日本などにLNGとして輸出しようという構想もある。ただ、国家安全保障の観点から米国政府が天然ガスの輸出を許可しない可能性もあり、そのため、カナダのシェールガスをアジア向けに販売することが検討されているらしい。ともかく、このような輸出が具体化すれば、現在高いLNGを買わざるを得ない日本にとって、既存のLNG販売事業者を牽制する大きな力となる。ここ1〜2年の話にはならないだろうが、長期的に天然ガスへシフトする発電用燃料を確保する道が一つ開ける可能性がある。期待しながらこれからの展開を注視しよう。