毎朝、この地域の新聞「奈良新聞」を読んでいる。奈良県を中心にした取材を丹念にして記事にしている。勿論全国ニュースもあるが、それが一面トップに出ることは滅多にない。奈良県の動きが中心になる。地方紙は経営が難しいといわれ、奈良新聞も例外ではないはずだが、少ない人数で、南北に長く、山地も多い奈良の地域活動を教えてくれる。読み慣れると朝はまずこれから目を通すようになった。その記事の中に、「おいね」という防寒衣料のことが最近出ていた。奈良盆地と比べて平均気温が3度ほど低い奈良県東北部にある大和高原。県東北部に広がるこの大和高原の歴史・文化を生かした地域づくりに取り組む「大和高原文化の会」(植村勝彌会長)が、県内の大学や福祉作業所と連携し、同地域に伝えられていた防寒衣料「おいね」を復活させる活動が紹介されていた。おいねは、薄めの座布団状のものを背中に背負って着用するもので、大和高原地域で背負うことを「おいねる」と言うことからこの名がついたという。昭和30年代まで、女性や年配者を中心にごく普通に着用されていたが、最近は見られなくなっていたらしい。その復活として綿入れより軽量なフリース地を使い、現代風にアレンジした「やまとのおいね」をデザインし、試作品もできている。写真で見ると、薄いリュックサックが肩の辺りから腰より少し上の部分まで被さるようになっている。その応用として、上に頭に被さる頭巾がくっついたものもあって、背中を中心に身体の熱が抜け出るのを防ぐようになっている。節電や昔の暮らしを見直す機運に力を添えるものとなれば嬉しいことだ。こたつ、かいまき、など、昔からの生活の知恵を見直すと、案外快適で無理や我慢をせずに節エネルギーが実現できるかも知れない。唐辛子なども使ってみると効果がある。「おいね」が全国へ紹介されて一つのファッションになれば良いのだが。