効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ピコ水力発電

一昨日いただいたコメントの二つ目は、小型タービン発電機に対する当方の印象を強化してくれるものだった。これをさらに小さくした発電システムが、今日の奈良新聞に紹介されており、これも使い方によっては、それこそチリも積もれば山になる諺の実証になるのではないかと思った。長野県辰野町電気工事業を営む倉沢さんが考案した超小型の小水力発電機がそれだ。出力1キロワット未満で、「ピコ水力発電」と呼ばれ、農業用水など身近な資源が利用できる。実験施設では、灌漑用の水路から直径10センチのパイプで8メートル下の箱形装置に水が流され、内部で発電用モーターに直結した水車が回る。重さは約25キロで、最大出力が300ワット。本体とバッテリーを含めて約60万円というから、常時使えるようにすれば、コストは10年未満で回収できそうだ。2004年に街灯の電源として製作し、今も街灯や屋内照明、テレビ、シカやイノシシから畑を守る電気柵に使っているとか。系統に繋ぐのではなく、これ専用の直流回路を設置しているのだろう。メンテナンスは取水口の落ち葉やゴミを取り除くくらいだという。これまでに県内の農家や企業、京都府宮津市などに約20基を販売、リースして、視察に来る人も1,500人と多いようだ。設置のネックは行政による水利権の確認に時間がかかることだそうだ。水力発電はいつもこの水利権が問題になる。今後の小水力普及のためにこれを見直す必要があるだろう。
これは別に農業用水でなくても、水の流れが絶えないところであれば、工場であれビルであれ、排水路を利用したりして設置できるはず。電池を工夫すれば、一時的に300ワットを超えても問題が出ないようにするのは難しいことではない。都市部でも高層ビルのようなところで、落差10メートル位の水流を作れるところも多いのではないか。直流利用さえうまくやれば、応用範囲は広いだろう。これが積み重なれば、何十、何百キロワットに積み上げることも夢ではない。面白いものが商品化されたものだ。