効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

マイクロタービン発電

IHI社が先進的技術を盛り込んだ世界初の携行型マイクロタービン発電機のプロトタイプを作ったと発表した。これまでヨーロッパで発表されていたピコタービンよりも大きかもしれないが、利用分野が非常に大きくなるのではないかと思う。発電機内蔵ガスタービンは、フォイル軸受で支えられた完全オイルフリーの超小型ガスタービンに超高速発電機を組み込んだ構造であり,設計上は定格40万rpm,最大400Wの発電能力を有している。これが一つのパッケージに組み込まれて、冷却ファン,消音器を取り付け,燃料タンク,電装系・補機類,エンジン起動用電池を組合せてある。発電機内蔵ガスタービンは直径約8cm×長さ12cmと手のひらサイズ。重量は示されていなかったが、手のひらに載せられていたから、軽いものなのだろう。静粛・低振動特性は44dBA@7m側方(33万rpm、60W発電時)となっている。プロトタイプパッケージ試作品はプロパンガスを燃料としているが,灯油,軽油で発電機内蔵ガスタービン試験実証済であり,多様な燃料への対応性があるとのこと。排気温度は70℃というから、発電効率も低くはないはずだ。ボタン一つで起動・停止が可能で、起動から定格発電開始までに約30秒,停止までに約2分半というから、非常用としても優れた性能を持っている。自律発電実証に成功と発表記事にあるから、系統からの受電をせずに負荷変動に対応することができるのだろう。
これを発電機として使うのも有効で、特に現在の電力供給に不安がある状況から見ると大きな潜在需要があるのではないか。最高出力が400ワットだから、家庭が常時消費する最低電力を供給できる。常に最高出力で稼動させるのは寿命にも影響するから、300ワットで発電させながら、70℃の排熱を温水タンクで回収すれば、貯湯式給湯器としても使える。タービンから出る可能性があるNOXも量的には問題とならないだろう。早期の商品化を望みたい。エンジン式発電機より構造が簡単だから、世界で需要があることは確かだ。