効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力融通

経済産業省は今春をメドに、周波数の異なる東日本と西日本の電力融通拡大に向けた整備計画を策定すると今日の日経新聞に報じられている。数値目標を定めたうえで補助金や税制優遇などで設備投資を支援するということだが、現状では電力融通を100万キロワット拡大するには2000億〜3000億円の整備費用がかかるとされる。最大で約800万キロワット分の発電所が停止しても、他社からの融通で賄えるようなシステム構築を目指すと言うが、東西日本をつなぐ電力融通設備のほか、同一周波数の本州・北海道間や各電力会社間の融通容量拡大も対象にするというから、やっと日本にも本格的なスマートグリッド導入に向けた動きが具体化したなという印象だ。単なる融通だけではなく、本格的な風力発電の導入に力点を置くならば、北海道と本州を結ぶ高圧直流幹線も大幅に拡充しなければなるまい。
この動きは、日本の電力設備メーカーにとっては市場が日本に新しく生まれるということを意味する。しかし、技術と商品の開発には欧州企業がかなり先行している。これに追いつくと同時に、現在の緊急状態へ対応するには、海外メーカーとのタイアップが必要ではないかと思う。これまで日本の電力会社は国産にこだわってきた。だがそういう時代は過ぎたと考えるべきだ。電力会社間の融通規模を拡大するのには、拡大されたところまで電気を送る高圧送電網も設置しなければならず、その高圧送電線が設置される地域の住民が電磁波障害を心配して反対する可能性が高い。昨年夏に出版した自著でも主張しているような、高圧直流幹線を海底に設置する方が良いのではないだろうか。こういうとすぐに漁業権があるから難しいという話になるが、健康被害の問題ではないから、日本全体が直面している電力不足を理解する漁業組合や漁民もあって、これまでとは違った反応を見せる可能性もある。
どちらにしろ、どのような具体案が出るか。内容次第では、発送電分離まで検討されなくてはならないかも知れない。