政府は18日、日本の排他的経済水域(EEZ)内である愛知県渥美半島の南方沖70〜80キロ・メートルの海底で、2月中旬をメドにメタンハイドレート掘削試験に入る方針を固めたと読売新聞が報じている。今回掘削を行う周辺海域には、日本の天然ガス消費量の十数年分と見込まれる約1兆立方メートルのメタンハイドレートが埋蔵されているとみられる「東部南海トラフ海域」があり、掘削試験の対象地点として有望だと判断した。2011年度予算に関連経費として89億円を計上している。
日本近海に膨大な量があることは確認されているのだが、これをどのように採取して陸上まで持ってくるかが大きな課題だった。米国と一緒に開発をしていたものだが、海底掘削を本格的に実施するのは世界で初めて。来年には実際に採掘し、ガスを生産する試験を行う予定だという。この場所が南海トラフであることを知って驚いた。大きな地震の発生が予測されている地震帯のあるところだ。掘削した後で大規模地震が起きたときの影響はどうなるのだろう。ただ、日本の場合、メタンハイドレートが埋蔵されていると想定されているところは全て地震帯に沿ったところだ。当然と言えば当然かも知れない。何らかのメタン発生源が地殻変動によって海底に押し込まれ、そこでガス化しているのだから、地震帯に沿って存在するのは不思議ではない。これまでにも、地震が起きて埋蔵されているメタンハイドレートが気化して海中に放出されたこともあったかもしれない。採取の実験をすることがそれを促進することはないと望みたい。
これに成功してコスト的にも引き合うメタンガスが入手できるとすれば、化石燃料の中では燃焼時に炭酸ガスを排出する量が少ないエネルギーを確保でき、脱原発が進められたとしても、クリーンエネルギーへの転換に向けたつなぎができるはず。リスクがないとは言えないが、原発の持つ潜在リスクより小さいだろう。期待しすぎかもしれないが。