ひょっとしたらと思ってはいたのですが、東京都が臨海副都心約440ヘクタール内に総延長約6キロメートルの送電網を自前で整備して、東京電力の送電網を使わずに周辺のオフィスビルに直接電力を送ることを発表しました。動きが早いという印象です。発電所はコージェネレーションを想定して民間事業を公募し、都が発電設備導入費の一部を助成するそうですから、送電網を保有する東京電力の事実上の独占体制の一角を切り崩すものとなります。送電線は既設の水道管やガス管などをまとめて収納する「共同溝」に敷設するので、敷設コストはかなり抑制できるでしょう。都の支出は全体で数十億円程度になると報じられています。民間発電所がこの送電網を使うのに、東京電力の送電線を利用する場合には必要な託送料を払う必要がなく無料ですから、天然ガス発電所からの電力料金は東京電力より安くなるはずです。コージェネレーションの効率を上げる熱利用が課題になるかもしれません。
ここで思ったのですが、折角新しい送電網を設置するのであれば、一部でも高圧直流送電を試みてはどうでしょうか。データセンターにもここから供給される筈ですから、送電ロスを少なくすることができます。交流・直流変換の設備が必要ですが、交流には3本必要な電線が直流では2本で済みますので、少しのコストアップで済むのではないかと思います。このような新しい試みをすれば、そのこと自体に価値が生まれるでしょう。横浜市や大阪市など、共同溝を持つ自治体もあるようですから、同様の試みも実施される可能性があります。世界的には次第に高圧直流が採用されるようになっていて、設備コストも大きく下がっていると聞きます。検討してほしいものです。