効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電力ピーク需要の抑制

今日報道されていますが、経済産業省は省エネ規制を抜本的に見直すことになったようです。オイルショックの後からこれまで、工場や店舗のエネルギー総使用量に焦点をあてて効率改善を求めてきたのですが、今後はピーク時の使用量抑制に軸足を移します。電力不足の長期化をにらみ、自家発電や蓄電池などの活用を促す狙いもあり、また、家庭のエネルギー消費を抑えるために、新たに住宅建材にエネルギー効率を高める規制も導入することになっています。法改正は来年実現をめざすそうですが、私から見れば遅きに失したと思います。電力ピーク抑制は米国各州で具体的に推進されて、やはり石油ショックがきっかけでしたが、最近言われているスマートグリッドの中核的なプロジェクトになっています。
遅きに失したとは言え、具体案が出てきたのは、3月11日以降の電力不足への対応が十分できない電力事業が、経済産業省に対して反対をやりにくいという政治・経済状況が生まれたから実現を正面切って言えたのでしょう。これまでは、電力事業は具体化に反対して、大きな政治的圧力をかけてきたのです。米国の場合、電力供給事業を規制しているのは州政府ですが、幾つかの州で、販売量を落とした電力会社を評価する制度ができているくらいです。少なくとも、販売量の低下が利益減にならないようにしているのです。
電力需要のピークを引き下げるのは、販売量減につながることは確かですが、年間で数日しかないピーク需要にも対応する設備を保有しなければならず、この設備の稼働率は極めて小さいですから、ピーク需要の抑制は電力会社の経営にプラスになる側面もあるのです。太陽光発電は昼のピーク時にもっとも稼動しますから、電力会社が促進策をとっても良いほどです。燃料電池コージェネレーションの普及も、それだけ発電設備を追加しなくて済む、言い換えれば投資を抑制できる効果もあります。ただ、これまで日本の電力会社は、自ら直接制御できない発電設備が増えるのを嫌ってきたために、需要端に、効率の高い、送電ロスの出ない発電設備が普及しなかったのです。来年からは事情が一変するかもしれません。具体案が出るのを見守っていきたいと思っています。