効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大停電寸前だったニューヨーク

テレビのニュースで、ニューヨークに熱波が襲っていて、消火栓を解放して市民が水浴びをしている風景が報じられていた。いまは治まったのかもしれないが、この時ニューヨークだけでなく米国東部一帯の電力供給がぎりぎりになっていて、停電はしなかったものの、ブラウンアウトと言われる電圧低下を起こしていた。というより、意図的に電圧を落とすことで消費電力を落として停電を何とか回避していたのだった。日本もこのような事態にならないとも限らない。
この時に新しいビジネスが停電を回避するのに大きな役割を果たしたと言われている。沢山のオフィスビルなどの需要を空調温度制御などで引き下げる量を取りまとめ、仮想卸電力として送電会社に売るというビジネスだ。空調の設定温度を上げて電力消費を落とすと、それに対してお金が支払われる形になる。消費を落とすと言うことは、このビルに小さな発電所を取り付けたのと同じ効果が生まれるからだ。電力事業とすればピーク電力を供給する設備を多く持たなくても良い。このようなビジネスが米国各地に生まれているらしい。仮想卸電力事業者同士の競争も生まれるだろう。今回の熱波の時は、卸電力としてかなり高く売れたのではないかと思われる。
日本でも同じようなビジネスが可能かどうかは分からない。米国では連邦エネルギー統制委員会(FERC)が認定したことでスタートしているはずだが、日本でこの夏の電力不足に対してこのような調整ができるビルが東京や大阪に幾つあるかも問題となる。しかし、電力不足に対する助っ人として大きな役割を果たすことができるはずなので、昨年であれば洟も引っかけなかった日本の政府や電力会社も、受け入れるかどうかまじめに検討するかもしれない。新しいビジネスを始めようとする事業者も、どれだけ引き下げできるかの実証経験がまだないので、今年は無理かもしれないが、来年には登場するかもしれない。