英国のエネルギー・気候変動省のヒューン大臣は、この5月17日に、2023年から2027年の炭素削減計画「第4次カーボン・バジェット」を公表し、この期間の温室効果ガスの総排出量の上限値を1990年比で50%削減する目標を公表した。英国は、2050年までに少なくとも80%の温室効果ガスの排出削減を目指しており、この目標を達成するために設定された数値である。この目標値は法律で義務づけられることになるから、単なる意欲表明ではない。
公表されたステートメントを読んでみると、英国をローカーボン社会にするのだという方向性に満ちたものになっている。年末までにこの政策によって電力価格や電力消費が大きい産業にどのような影響が出るかを具体的に示すとも述べている。英国は福島第一原発の事故の後も、その原子力発電所建設計画の変更などを表明してはいないが、このステートメントには原子力発電所を増設することによってCO2排出を抑えるという内容は入っていない。削減方針を明確にすることによって技術革新を促進し、雇用を増大することも見込まれるというように、国にとってプラス効果を生み出すものだという内容になっている。おそらくこれによってスマートグリッド導入に向けた具体的なプログラムが設定されるだろうし、洋上風力発電に対する政策的支援策も出されるのではないか。これからも英国の動きに注目している必要がありそうだ。