効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

被爆量上限の撤廃

福島原発事故の後すぐに書いた心配が現実のものになってきた。原子力発電所でいろいろな作業をする人たちは専門知識・技能が必要である場合が多い。そして、そのような専門作業員の数は多くない。ところが、福島原発第一での事故対応作業が依然として高い放射線環境で行われているために、作業者が浴びる放射線の量はどんどん多くなる。その量があるレベルを超えると重大な健康被害に結びつく。そうならないようにするには、蓄積量の監視と同時に、常に交代要員を確保しなくてはならない。
ところが、厚生労働省が、福島第一原発事故の復旧作業に携わる作業員に限り、年間50ミリシーベルトとしている被爆線量の上限を撤廃することを決め、日本労働組合総連合会(連合)に文書で示していた報道されている。現行のままでは福島で作業後に他の原発の定期点検作業ができない可能性があるからだという。定期検査時など通常の被爆線量と合算し、5年間で100ミリシーベルトの上限は維持するとも報じられている。
この基準変更はきわめてご都合主義だ。復旧作業をする要員が確保できなくなると、なし崩しにまた上限が上げられるだろう。これは国が殺人をしていると言っても構わないほどのことだ。この程度の放射線を浴びてもすぐに病気になったり死んだりすることはないだろう。しかし、このような作業を行う人は比較的若い人が多いのだから、将来癌や白血病(これも一種の癌)になる確率が飛躍的に高くなる。自分のように老年に入っている人間の細胞が分裂する速度は低下するから放射線を浴びてもさして問題はないとも言えるが、子供を最高として、3〜40歳代の人たちの細胞分裂はまだ活発だ。細胞が放射線を受けると、異常な分裂をする確率が高くなるということは医学の常識。少し放射線にあたるのは健康によいなどと発言した議員もいるが、暴言というべきものだ。
身を挺して作業をする人たちを愚弄しないでほしい。