効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガス幹線

関東地方以北の電力供給がこの夏には不足するかもしれないことが心配されているが、これに関連する可能性のある報道として、日本の天然ガス供給網を日本全体に接続させることが検討され始めたというものがある。以前からここでも言ってきたことではあるが、大手である東京ガス大阪ガス東邦ガスのガス供給パイプラインは相互に接続されていない。だから、今回の東電のような問題が起きると、相互融通はLNG船による輸送という手段がとれる点が電力とは事情が異なるが、難しさがあることは確かだ。短期的な問題としても関東地区にガスによる業務用自家発電や家庭用の燃料電池エネファーム)やエンジンコージェネ(エコウイル)が大量に設置されるようになると、東京ガスのガス供給に不足状態が出る可能性はゼロではない。また、政府筋には、電気を使う冷暖房ではなくて、ガスを使って冷暖房を行う吸収式空調機の販売促進策を考える向きもあるらしいから、将来に備えた対策だと言えないこともない。
都市ガスの場合、電力と違って国土全域にわたって供給することは期待されていない。その隙間をLPGや灯油などで補完することができるからだ。しかし、もし天然ガス幹線が日本列島を縦断するとすれば、天然ガスを海外から輸入するときにも、沢山の受け入れ基地を作る必要もなくなってくる。エネルギー供給の安全保障としても好ましいことなのだ。これからこの方向に向けてどのように動くか分からないが、人口や産業が乏しい地域にガス管を通すと、需要が確保できないために投資が回収できないのだから、どうしても公的な支援が必要だろう。電力もガスもともに国の支援が必要となったときに、いまの日本にその財源があるかどうか。ま、難しいだろう。