効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大嘘の記事

読売新聞3月30日17時40分のオンラインニュースに出された記事を引用する。この記事は、英文読売4月4日朝刊に転載されていたのをワイフが見つけてくれ、日本文の記事検索をしたら出たもの。燃料電池について、結論として停電時には使えないということに変わりがないが、その説明は大嘘だ。これが読売新聞本紙にでたかどうかは分からない。多分3月31日の朝刊に出たのだろう。
『深刻な電力不足を受けて、家庭用自家発電システムの燃料電池太陽光発電について、「停電時に使えるのか」との問い合わせがメーカーに相次いでいる。

  • 燃料電池は一般電源を使ったモーターが必要なため停電時は使用できず、太陽光発電も発電量が小さい。節電を目的に開発されたものだけに、停電時の代替電源としては限界があり、注意が必要だ。
  • 東京ガスなどは、2009年から家庭用燃料電池を「エネファーム」の愛称で販売している。都市ガスなどから取り出した水素と、空気中の酸素を化学反応させて発電する仕組みだ。 -計画停電実施後、東京ガスには、計画停電時の代替電源に使いたいと考える家庭から、「計画停電の時に使えるのか」との問い合わせが増えているという。しかし、水素や酸素の取り込みには電気で駆動するモーターを使うため、停電時には使えない。
  • また、燃料電池の運転中に停電すると機器が故障する可能性もあり、東京ガスはホームページなどで「計画停電が始まる前に燃料電池の電源を切ってほしい」と告知している。
  • 家庭用の太陽光発電も、多くの家庭では発電した電力を電力会社に売って電力料金を引き下げるために導入している。停電時に家庭内に電力を供給する仕組みになっておらず、家電製品に使うには主に屋外に設置された分電盤に家電製品をつなぐ必要がある。また、発電容量も小さく、晴天時なら一部の冷蔵庫は使えるが、エアコンを動かすのは難しい。』

家庭用燃料電池は、水素や酸素の取り込みには“一般電源からの”電気で駆動するモーターを使うため、という説明は、停電するとモーターが止まるからということだろう。大嘘。モーター類は自分で発電した電気で回す。しかし、現在の仕様では、系統の電気が止まると燃料電池も止まるように設計されている。停電した配電線に燃料電池から電気が逆流しないようにするためだ。技術的には独立して運転できるようにできるが、いままでは停電がないことを前提にして作ってあるから停電すると止まる。停電すると機器が故障するか。しない。東京ガスのホームページを自分で見た限りでは、計画停電の前に燃料電池の電源を切ってほしいと言う告知は見つからなかった。停電すれば静かに止まるだけだ。ただ、停電が終わると、再立ち上げには系統からの電気が必要だ。蓄電池を持っていないからだ。
太陽光発電についても、“主に屋外に設置された分電盤”に家電製品をつなぐ必要があるというのも大嘘の筈。パワーコントローラーは通常屋内設置だ。その特別コンセントにつなぐことになる。晴れていれば1〜1.5キロワットくらいは使えるが、エアコンは勿論、冷蔵庫も難しいだろう。照明とかテレビなどが中心になるはず。
極めて悪意のある記事だと思う。