効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カーボンナノチューブの製造コスト低下

2月5日にここでカーボンナノチューブの製造コストが従来の1000分の一になる技術が開発されたと書いた。それに続いて1ヶ月も経たないうちに、同じようなコストダウンが報道されている。この前は産総研日本ゼオンが成功させたものだが、今回のものは京都大学の北川 宏教授らの研究成果で、フラスコで合成できるという。フラスコでということは、高圧ではないし、温度も高くないことを意味する。記事にも、低温で作れて壊れにくく、大きさや性質の細かな制御も可能とある。フラスコに白金イオンと2種類の有機化合物を入れ、1辺が約1.1ナノ(ナノは10億分の1)メートルの四角形の枠を作り、これにヨウ素を加えると、4角柱の単層型のナノチューブになった。白金以外は安価で製造コストは従来の約100分の1の1グラム数千円。白金をニッケルなどで置き換えられれば、さらに10分の1になる見通し。新製法のナノチューブは壊れにくく設計の工夫で特定ガスだけの吸着も可能。2月5日に書いたものと同程度のコストになる。ガスセンサーや燃料電池、電子部品などへ応用を目指すとある。
単純にカーボンナノチューブというが、このコストダウンがいわれる2つの方式で作られるカーボンナノチューブは相互に性質や構造が大きく異なっているかもしれない。まったくの素人だが、応用範囲が異なっている可能性はある。であれば、逆に、これまで性能的には使いたいが、高くて手が出せなかったのが、気軽に使える分野が広がるということだ。いま燃料電池や蓄電池の価格が高いのが導入への障壁だが、これがこのような製造技術の開発で身近なものになる時期が早まるかもしれない。トヨタ自動車が、燃料電池自動車の導入を、2015年頃とこれまで言われていたより早めている。燃料電池の場合、水素供給ネットワークも整備されなくてはならないが、水素貯蔵にもカーボンナノチューブが有効らしいから、燃料電池自動車が電気自動車と競争する時代が近いのかもしれない。